年末調整書類の「保険料控除申告書」の書き方についてご紹介します。
この書類は主に、保険料を支払っている人が対象になります。
保険料にも色々ありますが、民間会社で加入している生命保険や地震保険などです。
対象となる保険料を支払っている場合はそれぞれに控除が受けられる特典があります。
その特典を受けるためにも、ちゃんと自分で理解しながら書きましょう。
▼各控除の内容についてはこちら
⇒年末調整できる控除の種類と控除額一覧
▼家族を養っている人の書き方はこちら
⇒扶養控除等(異動)申告書の書き方
平成29年分までの「保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」は平成30年分から「保険料控除申告書」と「配偶者特別控除等申告書」の2枚に様式変更となりました。
※本記事は「給与所得者の保険料控除申告書」の書き方です。
目次
保険料控除申告書の内容
申告書は下記の通りです。
記入する項目は大きく分けて「4つ」に分類されます。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
今年1年間で支払った上記4つの保険料を記載していき、各保険料ごとの控除額を求めていくのがこの申告書の役目です。
ちなみに4.は「しょうきぼきぎょうきょうさいとうかけきんこうじょ」と読みます。
もし該当する保険料がなにもない方は上の「氏名・住所」を記入し押印して提出すれば大丈夫です。※会社によって提出不要の場合があります
画像付きで初心者でも分かりやすくご説明していきますので、4つの保険料の書き方を見ていきましょう。
1.生命保険料控除の書き方
まずは『生命保険料控除』の書き方についてご紹介します。
基本的には保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」と照らし合わせて記載していきます。
書類に記入する情報はほとんど控除証明書に記載されていますので、しっかり確認していきましょう。
加入している保険会社から送られてくる証明書です。書類タイプやハガキのものがあります。
毎年10月~11月ごろに郵送されます。
ここに記入できるのは、下記のものに限られます。
・本年中に支払った保険料である
・受取人が本人又は配偶者か親族のものである
※契約者が妻や子どもの保険でも、あなたが支払った保険料の控除の対象となります。
(例:妻の終身保険、子どもの学資保険 等)
生命保険料には下図のように3つに分かれています。
種類によって記載する箇所が違いますが、書き方はどれも同じです。
※ここからはわかりやすいように、サンプルとして「大同生命」「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」さんの生命保険料控除証明書を引用しています。
■種類の判別
生命保険料控除証明書の上部に記載されています。
(一般・介護医療用、個人年金用 等)
そして、申告書に記載するのは金額が記載されている保険の箇所だけ記入していきます。
例では「一般」と「介護医療」にそれぞれ記載していきます。
■基本情報
※画像をクリックすると大きくなります
①保険会社名
記入欄が小さいので「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」など長ければ「ひまわり生命」のように略称で大丈夫です。
②種類
控除証明書の「保険種類」
③保険期間又は支払期間
控除証明書の「保険期間」
④契約者の氏名
控除証明書の「契約者」
⑤受取人の氏名
控除証明書の「受取人」
⑥続柄
あなたから見た関係「本人、妻、夫、子、父、母 など」
⑦新・旧の区分
控除証明書に記載されている「適用制度」
生命保険は契約日によって適用される制度が新制度か旧制度に分かれます。
旧制度:平成23年12月31日以前の保険
証明書に記載がない場合は金額欄で判断
⑧保険料等の金額
控除証明書の「証明額」ではなく「申告額」
※間違いやすいので注意
★証明額:ハガキを発行した時までに支払金額です。
★申告額(参考額など):このまま契約内容を変更せずに12月まで支払い続けた場合の支払金額です。※年末調整・確定申告ではこちらの金額を使用します。
■控除額の計算
計算方法は例年変わってませんが、やや複雑です。
保険会社が公開している専用のツールを使うと簡単に計算できますので利用しましょう。
★適用制度:新・旧制度
★保険の種類:一般、介護医療、個人年金
上記に注意しましょう!
記入のコツ
計算式で見てもらえばわかるように、控除額には限度があります。
旧保険料上限:10万円
逆に言えば、それ以上はいくら申告しても控除額は増えません。
控除額の上限になったら内容の記載はストップして大丈夫です。
いや、ストップしてくださいどうかお願いします。
書く方も大変ですが、見る方も大変なのです。
コツとしては、旧保険料の金額が高い方から記載すると手間が省けます。
実は説明上記載しましたが、上のサンプル例では、2行目で10万円に達しているので3行目は要らないのです。
2.地震保険料の書き方
地震保険料控除は生命保険料控除より簡単です。
ここに記入するのは下記の要件を満たすものだけです。
・常に住居として使用していること(生活の拠点となっている)
・あなた自身が支払った保険料である
・本年中に支払った保険料である
ポイントは「地震」と「旧長期損害保険料」の2種類あることです。
【地震保険料控除の記入例】
ここでは、項目が少ないので一気にご説明します。
■保険の内容
「保険会社名」や「種類」などを「地震保険料控除証明書」を確認しながら記載していきます。
会社名が長い場合は、省略しても大丈夫です。
※三井住友海上より引用
■控除額の計算
限度額に注意しながら控除額を記入します。
・通常の地震保険
支払額がそのまま控除額になります。
上記の例では、30,000円。
・旧長期の保険
1万円を超える場合は計算式に当てはめて計算します。
上記の例の場合は、『19,500÷2+5,000円=14,750円』になります。
それぞれを合計した「44,750円」を記入します。これが地震保険料控除額です。
3.社会保険料控除の書き方
ここで記入するのは、給与から天引きされている社会保険料以外の社会保険料を支払った場合の人です。
※給与天引きの社会保険料は会社の担当者が把握していますので、申告する必要はありません。
主には、下記のものが該当します。
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 介護保険料
- 国民年金基金の掛金
- 後期高齢者医療保険料
あなたの分だけでなく、家族の分であなたが支払ったものについても記載できます。
【社会保険料控除の記入例】
ここはいたってシンプルで、支払った金額をそのまま記入します。
つまり、支払った全額が控除額となります。
サンプルの金額は適当ですが、実際平成28年の国民年金保険料は約月1.6万円ですから年間19万円を超えます。なかなかの控除額になりますので該当する人はお忘れないように。
本年に支払っていれば過去のものでも申告できます。過去の分2,3年分をまとめてだとかなりの控除額になりますね。
小規模企業共済等掛金控除の書き方
最近人気がでている『iDeCo』はここに記載していきます。
ざっくり説明すると、個人事業主が加入できる共済制度の掛金や、確定拠出年金などです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の場合
実際管理人がしているiDeCoでご説明します。
iDeCoの場合は国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送付されます。
証明書に記載されている「合計金額」を記入します。
【記入例】
iDeCoは『個人型又は企業型年金加入者掛金』に記載します。
その他も同様にあなたが支払った金額をそのまま記入します。
こちらも、全額控除の対象となります。
この申告には、独立行政法人中小企業基盤整備機構や地方公共団体などから送られてくる証明書類の添付が必要になってきます。
なくさないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。保険料控除は人によって記載箇所も多く大変です。
勘違いや記載間違いなどで損をする人もいます。しっかり理解した上で申告できれば無駄な時間も手間も省けますので頑張りましょう。
また、少しでも書き方の参考になりスムーズな書類の提出になれば幸いです。
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