まず前提として、給料から天引きされている会社員は全く関係ありません。
なぜなら、天引きなので滞納はあり得ません。
自営業やアルバイトの人などで、住民税を自分で納付している人が『うっかり支払い忘れた』とか、『お金がないから意図的に支払っていない』などはよく聞く話です。
では実際に住民税を滞納した場合、住民税はどうなるのでしょうか?
滞納者には厳しい処分が待っています、実際にあった一連の流れを解説します。
督促や催促通知が届く
住民税の納付期限が過ぎて一定期間経つと、督促状なるものが自宅に届きます。
その他、文書や電話などで催促も行われます。
『住民税の納付が過ぎてますよ~、すみやかに支払ってくださいよ~』みたいなものです。
この時点で、日割りで『延滞金』がかかります。
この延滞金は、いつの住民税かによって年率は変わりますが、平成27年~は年率9.1%(最初の1か月は2.8%)になります。
延滞金の計算式
延滞金は次のように計算されます。
本税 × 利率 × 遅延日数 ÷ 365日
※遅延日数は、納付期限の翌日から実際に支払う日まで
※利率は年によって変わります
延滞金の計算式
具体的に計算してみました。
例)3か月ほど滞納していた場合
<納付期限がH27.8月末の住民税90,000円をH27.11.20に納付>
①H27.9.1~9.30の期間(30日間)
90,000円 × 2.8% × 30日 ÷ 365日
=207円(1円未満切り捨て)
②H27.10.1~11.20の期間(51日間)
50,000円 × 9.1% × 51日 ÷ 365日
=1,144円(1円未満切り捨て)
延滞金合計(①+②)
207円+1,144円=1,351円 → 1,300円(100円未満切り捨て)
まだ、かわいいもんですね。しかし、遅延している日数が長ければ長いほど延滞金は高くなっていくので、この時点でさっさと払っておきたいものです。
↓↓それでも、払わないぞ!
財産の調査
再三の督促や催促にも関わらず、音沙汰なしで納付されない状態が続くと、今度は不動産、預金、給与収入、生命保険、売掛金などあなたの財産が調査されます。
ここで、『この人住民税滞納してるんだけど、ちょっとこの人の給料どれだけか教えてよ』的な文書が会社に届きます。
この時点で、会社に滞納していることがバレます。
- 直近の給料
- 銀行名や口座番号などの金融機関
など、いろいろと回答します。
掛け持ちでいくつもアルバイトしている人は、おそらく全て通知がいっています。
この時点で市町村は、ある程度の情報はすでに知っています。
実際、私も実務で何人か手続きしています。
初めての時はよく分からなかったので、自治体の担当者に問い合わせたら『まぁ、知ってるんですけどねぇ~』と言ってました。まぁ手続き上、形だけしているみたいなものですね。
↓↓それでも知らねえよ
財産差し押さえ
市区町村の調査の結果、差し押さえ可能な財産を差し押さえます。
つまり、「取れそうなところから取る」手段に出ます。
手っ取り早いのは、給料差し押さえですね。複数から給料を得ている場合は、一番多いところから取ると思います。
実際、私の会社の職員で差し押さえの手続きをしたことがあります。
具体的には会社に『○月分の給料から月○○万円引いてね』といった「差押通知書」が届きます。前述の調査までは何人かいましたが、ここまで来たのは初めてでした。
本税+滞納金がなくなるまで差し押さえは続きます。ここまでくれば、もう強制執行なので会社も拒否できません。
自治体の変わりに会社が給料から徴収して、会社が滞納者の変わりに自治体に納付する形になります。
もちろんのこと、本人呼び出しで話し合いです。「来月からコレコレの金額引くよ」って言いました。(だって給与明細見て、急によく分からないお金引かれてたらびっくりするでしょ…)
本人は『ご迷惑をお掛けします』と言って謝っていましたが、まぁ担当からしたら当然です。
何が楽しくて、こんな面倒な事を自治体に変わってやらなきゃいけないのか…
実際は、ここまではすぐには行われず、基本的に2~3年以上滞納すると財産差し押さえになります。
ただし、実務的にいうと、会社への調査からは数か月で財産差し押さえに入っています。自業自得ですが、給料の手取り額がガクッと減ることになるので、生活が厳しくなるでしょう。
基本的に、税金を滞納しても何もメリットがないので、さっさと払うことをオススメします。
厳重処罰を回避する方法
行政が財産差し押さえまでするには、かなりの期間と理由があるはずです。
そう簡単に行政は厳重処罰はしません。
前述までの、財産差し押さえ処分は『悪質な滞納者』とみられています。
再三の警告に支払わないと言ったり、音信不通であったり、何もせずずっと放置していませんか?
それが、悪質と捉えられ厳重処罰に入るわけです。これを回避すればいいわけで、なんら難しくはありません。
住んでいる市区町村の住民税の窓口か、催促の電話で相談してください。
無理なものは支払えないのですが、『支払いたいけど、支払えない』と言えばなんとかしてくれます。分割にしてくれたり(無理のない程度の金額)いろいろ柔軟に対応してくれます。
あくまでも、「支払う意思がある」ことを伝えておけば、財産差し押さえなど重い処分にはまずなりません。
現実的に支払いはムリです・・・
住民税がどうしても払えない場合は、無きにしも非ずです。
「払いたくても払えないのだ!」といったこともありますよね。
そんなときも、市区町村の窓口に相談してください。
住民税には、減免処置があります。以下の場合は減免できる可能性があります。
- 生活保護を受けている人
- 今年の所得が去年より大幅に減った人
- 解雇や倒産で失業した人
- 障害者、未成年、寡婦の人
ただし、減免の制度は市によって異なります。上記の条件に該当しても、そもそもその条件がない市もあります。
あなたのお住まいの市区町村でどんな減免処置があって、該当するのかどうかは、実際に窓口で相談してください。
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