一般的には病院にかかった時に、診察を受けてその日に帰れる(外来)ことがほとんどですが、病気やケガの重さなどにより入院が必要な場合もあります。
ここでは、入院したときに健康保険がどのように適用されるのかについてご紹介します。
目次
入院時の費用
入院した時の費用はいくらぐらい掛かるのでしょうか?
症状や日数などで費用は変わってきますが、おおよその平均額が調査されていました。
入院時の自己負担額は、平均22.7万円
下記のグラフを参考に。
これは、直近の過去5年間に入院し、自己負担額を支払った人を集計されたものです。
20万円未満が半数以上を占めています。入院費用は結構かかりますね。
これらには、治療費や食事代、日用品費などもすべて含まれていますので、入院に関する費用の総額と考えていいでしょう。
では、一体どこまでが健康保険の適用となるのでしょうか。
自己負担(全額実費負担)となるもの
一般的に、入院による費用で保険が効かないものは生活上のものです。
ざっと並べると、
- おむつ・尿とりパット代、腹帯・T宇包帯
- 病衣貸与代
- テレビ代
- 散髪代
- クリーニング代
- パソコン貸出料(インターネット代など)
- DVD・CD、そのソフトなどの貸与代
- 患者図書館の利用料
など
これらが、保険給付の対象外になり、自分たちが全額負担しなければなりません。
自己負担となるものは、患者の同意が必要ですので、普通の病院等であれば必ず入院時にもらえる資料に記載されているか、院内に掲示されていますのでしっかり確認しておきましょう。
保険の給付が受けられるもの
入院に関しての費用の一部を健康保険でまかなってくれるものがあります。
主には、
- 入院時食事療養費
- 入院時生活療養費
があります。
それぞれに、条件があり内容が違ってきます。
入院時食事療養費
簡単に言うと、入院中の食事代の一部を補助してくれます。
補助の内容は、「医療費は3割でいいですよ」といった一般的な健康保険の給付内容と違い、『食事代は○○円まででいいですよ』(標準負担額といいます)といったものになります。
これは、1食単位で1日3食までと決まっています。
本人の所得により、支払う限度額が変わってきます。
▼入院時の食事代の標準負担額
区分 | 平成28年4月~ | 平成30年4月~ |
一般の人 | 1食につき 360円 | 1食につき 460円 |
一般の人は、普通に所得のある、下記の低所得者以外の人です。
例えば、現在(平成28年5月)は食事代が1食600円のものでも、1食360円で済みます。
平成28年3月までは、1食につき260円だったのですが、段階的に金額が引き上げられています。
低所得の人は、さらにお安くなります。
▼低所得者(住民税非課税世帯など)
区分 | 過去1年間の入院日数 | 標準負担額 |
住民税非課税世帯の人 | 90日まで | 1食につき 210円 |
90日を超えている | 1食につき 160円 | |
住民税非課税世帯で 70歳以上の高齢受給者 |
ー | 1食につき 100円 |
低所得者の場合、過去の入院日数や年齢によって、負担する限度額が変わってきます。
こちらは、一般の人と違いさらにお安くなり、今のところ値上がりはないようです。
注意点は、この標準負担額の軽減措置を受けるには申請が必要です。
申請書:「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」
添付書類:国民健康保険証、その他(申請者により異なる)
提出先:市区町村の窓口
※詳しくは市区町村にご確認ください。
高齢受給者とは、協会けんぽに加入の70歳以上で、後期高齢者医療に該当しない人です。
参考⇒高齢受給者証|全国健康保険協会(協会けんぽ)
入院時生活療養費
前述の「食事療養費」と似たような制度ですが対象者が違います。
これは、療養病床に入院する65歳以上の人の食費(食材料費+調理費)と居住費(光熱水費相当)は、一部を健康保険が負担してくれるというものです。限度額があり、それ以上は支払わなくていいという制度です。
療養病床に該当するかは、入院先の病院に確認してみるのが確実です。
▼入院時の生活療養費の標準負担額
区分 | 食費(1食単位) | 居住費(1日単位) |
一般の人 | 460円または420円 | 320円 |
低所得者Ⅱ | 210円 | 320円 |
低所得者Ⅰ | 130円 | 320円 |
※低所得者は住民税非課税の人です。
※低所得者Ⅰは年金収入80万円以下等の人です。
所得により、食事代は減額されていますが、居住費は均一の金額となっています。
医療費が高額になったら!
入院の費用が高額になった場合は、高額療養費という制度があります。
どうゆう制度かと言うと、一定の金額を超えた分は、後で申請することにより払い戻しが受けられます。
知らなかったり、申請し忘れると払い戻しは受けられませんので、高額医療にはとても重要なポイントになります。
十分理解した上で活用しましょう。詳しくは、こちらの記事を参考に。
前述の食事療養費や生活療養費の自己負担額、おむつ代など実費負担のものは高額療養費の算定金額に算入されません。
ただ、この高額療養費は後で払い戻しをする制度なので、事前にまとまった費用がかかるのが難点です。
貯蓄などをしておく必要があります。
事前に高額になると分かっていたら?
事前に、入院が必要になることや、入院日数やある程度の費用が分かっていれば、『限度額適用認定』という制度が活用できます。
制度自体は、高額療養費と同じようなものですが、事前に申請・手続きすることにより、入院費などが限度額までの支払いで済みます。
なので、事前にまとまった金額が要りません。
詳しくは、こちらの記事を参考に。
実は、一般的にはこちらがオーソドックスで上手な制度の活用方法と言えます。
実際は、その状況によりけりなので一概には言えませんが、
▶高額療養費
⇒急な事故などのケガや病気の場合
▶限度額適用認定
⇒検査入院や手術など、事前に確認可能な場合
で使い分けられると思います。
事前に入院などが分かれば、急な出費も最低限に抑えられるので必ず病院側に確認しておく必要があります。
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