健康保険とは?知っておきたい医療保険のしくみ

社会保険

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前回までの記事では、日本の社会保障制度にはいろいろな保障があることをざっくりご紹介しました。

今回は、社会保障制度内の医療保障である「医療保険」について紹介していきます。健康保険はこの医療保険という分類に属しています。

まぁ、早い話、病気やケガをしたときに使う保険ですね。

 

健康保険にもいろいろな種類があります。

正確に言うと、健康保険の制度によって種類が違うのです。

これは、サラリーマンなどの会社員の人や主婦、自営業の人など、その人の置かれた状況によって加入すべき健康保険の制度があるからです。

 

ちなみに、普段使っている健康保険は「社会保険の中の健康保険」を指すことが多いですね。

健康保険の制度の総称を「医療保険制度」といいますが、その中でも公的医療保険について、そのしくみを見ていきます。

※わかりやすくするため、細かいものや例外は省いています。

医療保険制度とは?

まずは簡単に、医療保険全体からお話しします。

医療保険には2種類あります。

医療保険

1.公的医療保険

国や自治体が運営し、全国民が強制的に入る保険。これがあるおかげでどんな状況でも医療費が3割負担で済みます。原則、未加入の期間があってはならないです。

 

2.私的医療保険

民間会社の保険で任意で加入。がん保険や生命保険という方がわかりやすいですかね。

公的医療保険の補完的な意味合いがあり、保障が足りないなと思ったら、個々で自由に入ります。

 

保険に加入すると、「被保険者」になります。

被保険者は「保険の保障を受ける人」や「保険の対象となる人」という意味です。

反対に「保険者」は「保険の運営者」であり、公的医療保険の場合は国や自治体などになります。

公的医療保険の種類

公的医療保険には大きく分けて、3つに分類されます。

働いている会社で加入する「健康保険」と、無職の人やフリーター、自営業者が加入する「国民健康保険」、高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」があります。

その中でも代表的なものが5種類あります。

 

被用者保険

サラリーマンなど働いている人が会社で入る健康保険を総称して「被用者保険」といいます。

その中でも代表的なものが3種類あります。

 

1.全国健康保険協会

全国健康保険協会が運営する健康保険で、管轄は国になります。通称「協会けんぽ」と呼ばれています。

大人の事情で、解散した社会保険庁のかわりに運営しています。

主に、中小企業で働く人とその家族が加入する医療保険です。

 

この協会けんぽの健康保険に加入している人は多いと思います。

私もこの保険です。

 

●保険料率

各都道府県の財政が基本となるため、都道府県によって保険料率が違います。

毎月保険料率が上がったり、下がったり変動します。

現在(H28年4月)の保険料率は全国平均は10%ぐらいです。

 

2.健康保険組合

主に、大企業やグループ会社が運営する健康保険です。

そこで働いている人とその家族が加入する医療保険です。

 

保険料率を設定できたり、従業員や家族の窓口負担が軽減できたりと、協会けんぽより手厚い保障ができるなど、自主的な事業の運営ができることが多いようです。

通称「健保組合(ケンポクミアイ)」と呼ばれたりします。

 

●保険料率

組合によってまちまちですが、協会けんぽより少し低い感じでしょうか。

 

3.共済組合

公務員や学校の先生とその家族が加入する医療保険です。

協会けんぽより、健保組合に似ています。少し保障が手厚い感じです。

 

この1~3までの健康保険を医療保険事務上では「社会保険」と分類します。

協会けんぽと健保組合ですべての健康保険加入者の半数を占めているようです。

 

基本的に加入の手続きをすると、各種の年金保険(厚生年金、共済年金等)も同時に加入されます。自分が入りたいものだけ入るとかはムリです。

例)全国健康保険協会の場合⇒健康保険、厚生年金保険のセット

※介護保険は健康保険に含まれます

 

また、基本的には扶養家族がいるときは加入時に一緒に手続きします。

もちろん途中で扶養に入れることも可能です。

ただし、扶養家族が加入するには条件があります。

さらに、扶養家族の保険料の負担はありません。でも、ちゃんと保障は受けられますのでご安心を。

 

ここで、用語の整理を。

保険者」…全国健康保険協会、各種健康保険組合など

被保険者」…加入している本人 例)お父さん

被扶養者」…加入者の家族 例)お母さん、こども

(扶養者)…家族を扶養している人=被保険者 例)お父さん

これらの名前が健康保険証に載っているはずです。

 

国民健康保険

主に自営業や失業者(無職)、社会保険の加入条件を満たさないアルバイトやパートなどが加入する健康保険です。手続きは市町村で行います。

一般的には「国保(コクホ)」と呼ばれています。

会社を辞めた人は、まず国保に入るか、家族の扶養に入るのが一般的ですね。

 

ちなみに、国民健康保険には被扶養者という概念はありません。家族でも全員が「被保険者」で、個々で入ることになります。

 

●保険料

基本的に、前年度の世帯全体の所得で計算されます。

会社の保険に入ってた人は、健康保険料の2倍の金額と同じくらい。保険料を安くするため、よく国保に入るか任意継続にするか悩むところ。

保険料は、個々ではなく世帯主が払います。例えば、お父さんが会社員で社会保険に加入していても、同じ世帯に住む家族が一人でも国民健康保険に加入していれば、その保険料はお父さんが払わなければいけません。

 

この保険の他に、税理士や建築関係、医師など特定の職業の人が加入する「国民健康保険組合」があります。

2つとも国保の分類ですが、保険者の違いから「市町村国保」と「国保組合」に分かれます。

 

後期高齢者医療制度

一世を風靡(フウビ)したあの制度。2008年から始まった制度で、75歳の人が加入する医療制度です。

なにがあろうと、75歳の誕生日が来れば、この制度に移行します。

それまでは、こどもの扶養に入ってた人も扶養から外れ、自分で保険料を払うことになります。

 

基本的には、医療費の自己負担は少なく、通常の人の3割負担に比べ1割負担で済みます。ただし、そこそこ所得がある人は3割負担になります。

 

ちなみに、後期というからには前期もあります。65歳~74歳の人が前期高齢者医療制度になりますが、保険の種類はその前の保険を加入したままになります。(扶養なら扶養、国保なら国保のまま)

 

国民皆保険制度とは?

あなたは、国民皆保険制度という言葉をニュースなどで聞いたことがありませんか?

 

察しがいい人は気づいたかも知れませんが、前述した医療保険を見てみると、どんな人でも必ずどれかの医療保険に当てはまりますよね?

あなたもどれかの医療保険に加入しているはずです。サラリーマンや主婦、学生、無職だろうが、赤ちゃんでもおじいちゃんでも、必ずどれかに属します。

 

日本は、このように「すべての国民がどれかの医療保険に必ず加入すること」が法律で義務付けられています。

これを「国民皆保険制度(コクミンカイホケンセイド)」といいます。

 

さらに、今の会社を辞めて、次の会社に就職するまで期間が空いていたとしても、

前の会社の社会保険⇒国民健康保険⇒次の会社の社会保険

というふうに”必ず空白期間を空けてはいけない”ことになっています。

 

この制度があるので、基本的に「どんな人でも、どこに住んでいても、いつでも病気やケガの場合でも安心して医療が受けられる」ようになっています。

 

国民健康保険の減免措置

会社の健康保険に加入している人の保険料は、お給料が大幅に増減があたときは、適正な保険料に随時、見直されます。

 

では、国民健康保険ではどうなのでしょうか?

国保への加入は、会社を辞めた時など無職になった場合に加入することもありますが、その時は収入がないはずです。

それなのに、前年の収入に応じて保険料が計算されると、支払いが大変になりかなりの負担になります。

払いたくても、払えないという状況になります。

 

実は、そんなときのために、国民健康保険でも社会保険のように、その時の収入に応じて適正に見直されます。

無職になったときや、世帯の収入が減ったなど、収入が大幅に減った場合は減額・減免制度というものがあります。

 

減免割合は7割~2割で、その時の収入や市町村によって違います。

気になる人は、まずは自分の住む市町村に相談し、ムリせず払える分だけ払いましょう。

 

減免には、必ず申請が必要になります。市町村など行政への手続きは勝手にしてくれません。何においても行政へは申請主義だと思っておいてください。

今までは会社が代わりに手続きしてくれていただけです。

 

まとめ

医療保険のしくみがわかれば、自分がどのような健康保険なのか知ることができます。

健康保険の種類は役所や病院、こどもの学校などで問われたりしますので、しっかり理解しておくことが大切です。

簡単にまとめると、

  • 会社に勤めている人は健康保険に加入
  • それ以外は国民健康保険に加入
  • 75歳で後期高齢者医療制度へ移行
  • 国民皆保険制度により全国民がいずれかの医療保険に加入
  • 国民健康保険は所得により減免できる

自分がどの医療保険か分からなければ、明確な医療保障のことを知ることができませんので、まずは把握することが大事です。

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