病気やケガで移動が困難なとき、入院や転院など必要があって移送されたときの費用は、「移送費」として健康保険から給付を受けられる場合があります。
ここでは、その移送費についてご紹介します。
※「移送費」は保険者が認めた場合に限られますので、詳しくは自分の加入している協会けんぽや組合等に問い合わせてください。
給付が受けられる場合
移送費として給付を受ける場合には、次の3つの要件を満たしている場合が必要です。
- 移送される目的の療養が、保険診療として適切であること
- 移動を行うことが、著しく困難であること
- 緊急、その他やむを得ないものであること
この要件は、法律(健康保険法施行規則第80条)で定められています。
○移送費が認められるケース
- 災害現場等から医療機関へ緊急に移送された場合
- 移動が困難な人が、診療所などの設備等では十分な治療が受けられず、医師の指示により緊急に転院した場合
- 離島等において、重体な人が付近の医療施設では必要な医療が受けられなかったり、著しく困難であるため、必要な治療ができる最寄りの医療機関へ移送された場合 など
×移送費が認められないケース
- 近くに十分な治療が受けられる病院があるのに、離れた病院に移送する場合
- 旅行先・出張先などで緊急入院したが、自宅の近くの病院に戻るために移送する場合
- 緊急入院したあと、症状が安定した頃にリハビリ目的などで他の病院へ転院する場合
- 自宅から通院するためにかかった交通費 など
上記は一例なので、保険者で基準が違うかも知れませんので参考までに。
基本的に、自己都合といったものは認められないですね。
支給対象となる費用
支給対象となる費用は、
- 自動車、電車などを利用したときの運賃
- 医師や看護師の付き添いを必要としたときに要した交通費
一般的には、上記のものが対象となるようです。
ただし、付き添いは一人分までといったことなど細かいところもあるようなので、確認が必要となります。
ワンポイント
費用を支払ってから2年を過ぎると時効になりますので、ご注意ください。
費用を支払ってから2年を過ぎると時効になりますので、ご注意ください。
支給される額
基本的に、○○円といったものではなく協会けんぽでは、
- 移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の旅費に基づいて算定した額の範囲での実費です。
- なお、必要があって医師等の付添人が同乗した場合のその人の人件費は、『療養費』として支給されます。
といったことが決められています。
手続きについて
▶申請の流れ
1.まず、協会けんぽ等の承認が必要です。
要:健康保険移送承認申請書
2.申請書の提出
要:健康保険移送費支給申請書、領収書
▶申請先
会社員の人は、会社の担当者に依頼しましょう。
国保の人は、各市区町村の窓口まで。
▶必要なもの
・保険証
・印鑑(朱肉を使用するもの)
・銀行の預金通帳又は口座番号などの控え
・移送を必要とする医師の意見書
・移送にかかった費用の領収書 (移送区間・距離のわかるもの)
また、申請書の様式にもよりますが、記載事項で必要になるので、
・傷病名、発病又は負傷の原因
・移送を必要とする期間
・移送を必要とする理由
なども押さえておくといいかも知れません。
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