失業中、失業保険を受給している時、また給付制限中などに就職が決まった場合には給付金がもらえる場合があります。
これは、より早く再就職してもらえるよう失業保険の一部を「再就職手当」として支給してくれるというものです。まぁ、お祝い金のようなものです。
では、再就職手当のもらえる条件や金額などはどうなっているのかご紹介します。
再就職手当がもらえる条件
再就職手当をもらうには条件がいくつかあります。
- 待期期間(7日間)満了後の就職であること
- 就職日の前日までの失業保険の支給日数が1/3以上残っていること
- 再就職先で雇用保険に加入し、1年以上の雇用が見込まれる
- 離職前の会社に再び雇用されたものではないこと
- 離職理由によって給付制限を受けている場合は、待期期間満了後1か月間は、ハローワークまたは職業紹介事業所の紹介によって就職したものであること
- 過去3年以内に、再就職手当をもらっていないこと
- 受給決定前に採用が決まっていたものではないこと
- 再就職手当の支給の日までに退職していないこと
これらの要件をすべて満たす必要があります。
分かりにくい部分がありますので、少し補足説明をしておきますね。
●雇用保険に加入し、1年以上の雇用が見込まれる
雇用保険の加入条件は『週の労働時間20時間以上』です。
雇用の期間は、『更新の場合がある』でも見込まれます。逆に、派遣などで雇用契約の更新の見込みがない場合はダメです。
●離職前の会社に再び雇用されたものではない
離職前の会社とは、グループ会社や子会社など資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがある会社も含まれます。
一番重要で、注意すべきは5番目の「給付制限がある場合」ですね。
基本的に、自己都合での退職は、失業保険をもらうまでに3か月の給付制限がつきます。
この「待期期間満了後の1か月間」に就職した場合は、ハローワークの紹介によって就職した場合のみ、再就職手当の支給対象になります。
わかりにくいので、前後の関係を図にしました。
給付制限を受けた場合には、時期により再就職手当の対象となる求人に制限がありますので注意が必要です。
ポイント①
リクナビ等の転職サイトからの求人は、1か月経過後でないと再就職手当は支給されな可能性が高いです。登録だけなら問題ありません。
ポイント②
職業紹介事業所とは、厚生労働大臣から職業紹介の事業をする許可を受けた事業所で、テンプスタッフとかパソナ等の人材派遣会社は、これに当たります。
支給される金額
再就職手当がもらえる金額は、失業保険の所定給付日数の残日数によって変わってきます。
・残りの所定給付日数が2/3以上ある
「支給残日数」×「基本手当日額」×60%
・残りの所定給付日数が1/3以上ある 「支給残日数」×「基本手当日額」×50% |
となっています。
一言でいえば、再就職手当は早く就職するほどお得になります。
例を出して、だいたいいくらになるか、計算してみましょう。
所定給付日数:180日、基本手当日額:4,000円、受給資格決定日:8月12日
この場合、
再就職手当は、331,200円となりました。
再就職手当の計算方法
どう計算したの?と思う方のために、上の例の計算方法をご紹介します。
興味ない人は、ずずっと読み飛ばしてください。
●支給残日数の計算
ややこしいので下の図で説明します。
簡単に言えば、所定給付日数ー受給資格決定日から就職日の日数+8日です。
①就職までの日にちの計算
下記のサイトで簡単に計算できます。※スマホ対応
⇒日数計算
②支給日数の計算
これは失業保険の支給日数です。
失業保険の支給は、『待期満了翌日~就職日の前日まで』なので余分な期間を差し引きます。
50日ー7日(待期)-1日(就職日の前日分)=42日分
③支給残日数
180日(所定給付日数)-42日(支給日数)=138日(支給残日数)
●支給率の出し方
50%か60%のどちらかの求め方です。
これは、所定給付日数と支給残日数が分かれば簡単です。下の図を参考にしてください。
上の例の場合は、所定給付日数は180日で、支給残日数は138日です。
図でみると、120日以上なので支給率は60%だというとこが分かりますね。
●基本手当日額の確認方法
簡単な方法があります。「雇用保険受給資格者証」に記載されています。
裏面に支給残日数も確認できますので、簡単ですね。
これで全ての計算方法が分かりましたね、あとは掛け算するだけです。
申請時の注意点
申請手続きについては、「雇用保険受給資格者のしおり」に記載されていると思いますのでよく確認してください。
申請できる期間が就職日の翌日から1か月以内です。
※実際の申請書の一部分です。
上記箇所は、事業主の証明が必要になります。
一般的に、たいした内容ではないので雇用契約書などですぐに記入できます。
しかし、ちょっと変わったパターンの場合もあります。
それは、入社して少し働いてから、途中から社会保険に加入した場合などです。
要は、入社日と雇用保険の加入日が違う時は注意が必要です。
まぁ実際に、私が職員さんのものを処理したときがそうなのですが、少し日付がやや複雑でした。
この場合、雇入年月日は「雇用保険の加入日」で記載するようです。会社側からしたら、少し違和感がありますね。
こう言った場合は、
- 雇入年月日
- 採用内定日
- 雇用期間
など、ハローワークでよく確認しておいてください。
期間の記載に不備や間違いがあったり、必要書類の確認などでマゴマゴしていると、すぐに1か月が過ぎてしまい再就職手当がもらえなくなる可能性もあります。
なので、ハローワークに雇用契約書などを持っていき、実情を伝えて「自分の場合は、どう記載してもらうのか?」を先に聞いておきます。
そして、聞いた内容を付箋などで伝えてもらえると担当者は非常に記載しやすく、処理がスムーズにいくと思いますよ。
失業保険どちらが得をするのか?
さて、ここまで来ると気になってくるのが、失業保険と再就職手当の損得問題ですね。
要は、「失業保険をもらいきってから就職する」と、「ちゃっちゃと就職して再就職手当をもらう」のどちらが得をするのか、という戦いですね。
せっかくなので、検証して勝敗を付けてみましょう。
面倒なので、前述の例を流用します。
●再就職手当をもらう場合 ※給料は20万円で、手取りはざっくり17万とします ・再就職手当=331,200円支給残日数より、ざっくり4ヶ月分給料が入るので、 ・331,200円×(170,000円×4ヶ月)=1,011,200円 ●失業保険をもらいきった場合 |
これは、再就職手当の圧勝ですね。なんとその差は、459,200円にもなりました。
給料も期間も少なく見積もったつもりですが、やはりちゃっちゃと給料をもらった方が総収入としては多くなりますね。
失業保険は、しょせん一時的な保障なのでいつか終了してしまいます。
その不安はやはり大きいと思います。
いい就職先があるならすぐ就職して、再就職手当をもらって雇用も収入も安定した方が精神的にも気が楽だと思います。
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