【必見】病気やケガで仕事に行けないときにするべきこと|傷病手当金について

社会保険

医師と看護師

あなたが病気やケガで仕事を休むことになったら、収入がなくなり生活費が心配になりますよね。

今まで一定の収入があったものが、仕事を休むことでそれが途絶えてしまいますので、不安をかかえる人は少なくないと思います。

業務中の病気やケガなら労災がありますが、業務外ならどうなるのでしょうか。
実は、業務外の病気やケガでも、会社員の人であれば健康保険から「傷病手当金」というお金がもらえる給付制度があります。

これは、療養中にあなたや家族の生活費を保障してくれるもので、給料の約3分の2の額が支給されるとてもありがたい制度なので、ぜひ知っておきましょう。

ここでは、右も左も分からない人が「どうしたらいいの?」といった疑問を解消していきます。
傷病手当金とは何か、支給の条件や金額、支給期間や手続き方法など、「傷病手当金」について詳しくご紹介します。

 

すぐに会社に報告する

病気やケガをして病院に行き、お医者さんから「ちょっと仕事は休まないといけないね」と言われたら、まずはすぐに会社に報告することをオススメします。

基本的に、会社を休まなければいけないの病気やケガであれば、このようにドクターストップがかかっているはずです。

会社としても、あなたが抱えている仕事がどれだけなのか、どこまで進んでいるのか、何をしなければいけないのか、シフトの変更や調整等々、業務量や進捗状況といった事を把握しなければいけません。

あなたが正社員でもアルバイトでも、急に仕事に来れなくなることに通常業務に影響がでます。休業となれば、社内での手続きも必要になってきます。

報告することは、社会人としてのルールであり、今後の手続きをスムーズにするためにも、仕事を休むことになったらすぐに会社に報告しましょう。

ポイントとしては、

  • 病気やケガの様態(重症、軽症など)
  • 治療にかかる期間(復帰できる時期)
  • 少しは出勤できるのか、入院になるのか
  • 療養中の場所(自宅or病院)や連絡先
  • 現在の業務の引き継ぎ など

この辺りは、会社としても知っておきたいので、分からないことは医師に確認しておいていくといいでしょう。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、私生活上で病気やケガをして会社を休む場合、あなたやその家族の生活を守るための給付制度です。

分かりやすく言えば、『仕事を休めば、給料がなくなり生活できないですよね?じゃあ、給料の変わりに生活費を支給しますよ』といったもので、その支給してくれるお金を「傷病手当金』といいます。

傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)から支給されますので、会社員と公務員にしか利用できない制度です。

 ≪傷病手当金の対象外≫
●被扶養者(被保険者の家族)
●国民健康保険の人(一部の国保組合を除く)
●任意継続被保険者(継続給付受給者を除く)

これらの人は、傷病手当金の対象外となっていますので注意しましょう。

簡単に補足説明すると、一部の国保組合では支給されるところもあり、任意継続被保険者でも継続給付の要件を満たしていれば対象となりますので、確認しておきましょう。

これが、社会保険に加入しているメリットの一つでもありますね。

支給条件は4つ

傷病手当金は、病気やケガで会社を休めば誰でももらえるというものではありません。ちゃんと、支給されるためには条件があり、すべてを満たさなくてはなりません

1)業務外の病気やケガであることケガ

健康保険の保障なので『私生活上の病気やケガ』に限ります。
業務中や通勤途中の場合は労災の適用となり、傷病手当金の対象にはなりません。わからない場合は、会社の事務担当者に相談してみましょう。

ワンポイント
うつ病や、切迫流産といった妊娠障害についても、傷病手当金の対象になります

 

2)仕事に就くことができないとき  入院

今まで従事してきた業務につけないとき。これを「労務不能」の状態といいます。

仕事につけない状態の判断は、自分で決めるものではなく、医師などの意見を基に、それまで従事していた職種や業務内容を考慮して判断されます

入院か自宅療養かは問われません。

 

3)4日以上仕事に就けないこと

病気やケガで仕事を休んでから、連続する最初の3日間は「待期期間」といい、傷病手当は支給されず、4日目以降の仕事を休んだ日に対して支給されます

待期は、”連続する3日間”でないとカウントされませんが、有給休暇や土日祝日等の公休日も含まれます。

待期期間
出典:待期期間|全国健康保険協会

 

4)給与が支給されないこと給与なし

傷病手当金は、”療養のため生活費を保障する”ものなので、『給与が支給されてたら不要でしょう』ということです。

ただし、給料が支給されても、傷病手当金の額より少ない場合は差額分が支給されます
一般的に、休業中は無給の会社が多いですが、一部の給料がもらえる会社もあります。

あなたの会社の規程がどうなのか、確認しておきましょう。

ワンポイント
①休業期間に有給休暇を使用した場合は、給与がありますので傷病手当金は支給されません。
②退職後に任意継続を選択した場合、退職後に発生した病気やケガは傷病手当金の対象にはなりません。

基本的に傷病手当金は、これらの条件を満たした上で、”病気やケガで仕事を休んだ日に対して支給”されます。

これで、支給される条件が分かりましたね。では、傷病手当金はいくらもらえるのでしょうか。

支給される金額

※平成28年4月より、傷病手当金の計算方法が改定されました。

傷病手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2の額が支給されます。
計算式を表すと下図のようになります。

1日あたりの金額
ちなみに、この計算方法は、出産手当金にも使われます。

標準報酬月額などの説明はまた別記事でご紹介します。
計算式をみると、なんだか難しくてややこしい感じですよね。

具体的な計算方法は少しややこしいのでここでは割愛します。
傷病手当金の早見表はこちら
傷病手当金支給日額|全国健康保険協会(PDF)
(出産手当金にも使えるのでダウンロードして印刷しておくと便利です)

基本的に支給される額は、

1日あたりの金額×申請した日数分になります。

日数は30日など申請した期間(実際に欠勤した日数)で計算されます。

さて、では支給される金額が分かりましたね。では、いつからどれぐらいの期間もらえるのでしょうか。

支給される期間

次は、いつまでもらえるのかが気になるところですね。

傷病手当金は、支給を開始した日から、最長1年6か月間支給されます
※支給開始日:一番最初に支給された日

これは、実際に受給する期間ではないことに注意してください。

例えば、リハビリ出勤などで復帰して傷病手当金を受給していなくても、その後また同じ症状で休業しても、復帰した期間も通算されて支給開始日から1年6か月後に終了します。

支給期間
出典:傷病手当金の支給期間|全国健康保険協会

申請から支給までの流れ

では、実際に申請方法の流れについてみていきましょう。
申請には、いろいろな証明がいるため時間がかかります。スムーズに申請できるよう、初めにしっかりと流れと必要なことを押さえておきましょう。

ここでは、一般的な全国健康保険協会(協会けんぽ)を例にご紹介します。
基本的に、申請は自分で行います。

  1. 病気やケガの発生
  2. 医師の診断書をもらう
  3. 会社へ報告
  4. 申請書の準備(必要事項の記載)
  5. 医師に意見を記載してもらう
  6. 会社に証明をしてもらう
  7. 保険者に書類を提出

細かく分けましたが、だいたいはこんな流れになります。
1つずつみていきましょう。

1.病気やケガの発生
医師や看護師に治療費や治療の期間など治療に関することを確認しておきましょう。
傷病手当金の申請ができるのか、治療費が高額になるようなら高額療養費が申請できる場合もあります。
前述した様態や今後のことも確認しておきましょう。
大きい病院などで、医療ソーシャルワーカーがいれば相談してみましょう。

医療ソーシャルワーカーとは?
医療機関で働く、患者の経済的なことや心理的なことなど、不安や困ったことを相談にのり、解決するために援助してくれる人です。社会福祉士の資格を持っている人が多く、受付や医師などと連携していろいろサポートしてくれる、患者にとって心強い存在です。

2.医師の診断書をもらう
どちらかというと、傷病手当金の申請いうより、会社への休業手続きで必要な事が多いです。
口頭だけだと、ウソを付いてるかも?と信憑性に欠けますよね。なので、どういった理由で休業するのか?の証明書が必要な会社が多いと思います。
今後の手続きでも役に立つので、初めにきちんと診断書をもらっておき、コピーして控えをとっておくことをオススメします。

3.会社へ報告
休業が必要なことを、会社へ報告しましょう。休業の手続きについてと、休業した時の扱いなどを確認しておきましょう。ここで、診断書が必要な場合は、郵送しましょう。
有給休暇がある場合は使用するのか、休業して傷病手当金の申請が出来るのか会社の担当者と相談しましょう。
詳しい人なら、傷病手当金の申請をサポートしてくれるかもしれません。

また、会社にも迷惑をかけることになるので、休業中の業務引き継ぎについても忘れずに伝えましょう。

4.申請書の準備
会社への報告を終わったら、傷病手当金を申請する準備をしましょう。
申請書は、協会けんぽのホームページでダウンロードするか協会けんぽの窓口でもらうことができます。

もし、パソコンがない場合や協会けんぽに取りにいけない場合は、協会けんぽに問い合わせてみることをオススメします。
申請書は長期間の申請であれば何度も使う可能性があるので、初めに複数枚コピーしておきましょう。

⇒協会けんぽのホームページはこちらから
⇒傷病手当金支給申請書はこちらから
⇒申請書の記入の手引きはこちらから(書き方がわからない場合)

○申請書の内容
申請書は全部で4枚あり、なかなかのボリュームになります。

1~2枚目自分で記入しておきます。診断書があれば書きやすいです。
3枚目事業主の証明が必要です。主に欠勤期間や賃金に関することです。
4枚目医師の意見が必要です。傷病名や治療の内容などです。

このように、3者(本人、事業主、医師)のそれぞれの記載が必要ですので、割と時間がかかります。

本人記入→医師→会社」の順で記載すれは、スムーズにいくと思います。

 

○添付書類

病気やケガの条件により添付書類がいる場合があります。

条 件 添付書類
外傷の場合 負傷原因届
交通事故等第三者行為
の場合
第三者の行為による傷病届
被保険者死亡の場合 (除籍)戸籍謄本
又は戸籍抄本

 

5.医師に意見を記載してもらう

申請書には医師の意見欄がありますので、記入してもらいましょう。働けなかった期間などの証明をもらいます。
注意点としては、申請したい期間(後述で説明します)が終わってから、証明をお願いしましょう

期間終了前に申請すると、見込みとなってしまい有効な証明と取り扱われない場合があります。

6.会社に証明してもらう

本人・医師の記入が終わったら、会社へ申請書を郵送し、事業主の証明をもらいます。ここで、実際に会社を休んでいる期間、給料の支払い状況などを証明してもらいます。

初回の申請時は添付書類として、休業期間の出勤簿や賃金台帳が必要ですが、会社で用意してくれますので添付をお願いしましょう。

ここでも、申請したい期間が過ぎてからお願いすることに注意してください。

7.保険者(協会けんぽ)に書類を提出する

さて、これで書類は完成すると思います。あとは、提出するだけですが、郵送が一番楽です。提出先は全国健康保険協会(協会けんぽ)の支部に提出します。支部は各都道府県にありますので各支部の住所と連絡先はこちらから確認してください。

また、会社によっては、事業主証明の記載で書類が完成していたら、担当者から郵送してくれる場合がありますので相談してみましょう。

申請する期間

申請する期間ですが、これといって決まっていません。一回の申請書で数か月分の申請もできますが、基本的には、月単位で申請します。

傷病手当金が支給されるのは申請してから1か月ほどかかります。
なので、数か月分まとめて申請すると、その期間プラス1か月ほどは生活費がない状態になります。

会社としても、給与の締めは月単位ですし、生活費を早く確保するにも1か月ごとに申請するのが一般的ですね。ただ、回数が多くなれば、それだけ医師や会社も手間もかかるので会社の担当者と相談してみましょう。

療養が短期間や、生活費にある程度の余裕があるなら、療養が終わってからまとめて申請するものいいかも知れません。

申請できる期限

傷病手当金が申請できる期限は2年です。期限が過ぎれば時効になり、申請できません。

2年前まで遡って申請できますが、1日単位で時効が発生しますので、療養期間に注意して申請しましょう。

もし、2年内に傷病手当金の支給対象になりそうな療養期間があるなら、今すぐ申請しましょう。

 

コメント

  1. 福田 より:

    透析をやってる主人は腰痛を押して出社してました。病院に月末に予約を入れたのでその日休むと伝えると見かねた会社が「休んでしっかり治して来い。」と言われ、その日まで休む事になりました。診察が終わり出社して、1ヶ月後に検査して2ヶ月後に入院すると告げると「_退院してしっかり治るまで来なくていいよ。傷病手当の手続きすればいい」と言ってきました。検査日まで病院に行く事は無いのですがどこで診断書を貰えば良いですか?会社が無理やり休ました期間は療養と言うことになるんでしょうけど、その期間は病院にも行ってません。会社の証明だけで良いのでしょうか?

    • じょん より:

      >福田様
      普通の傷病の場合(第3者行為やケガなどではない等)、添付書類に診断書は特に必要ないと思います。
      申請書に医師の意見(傷病名や治療内容など)を記載する場所がありますのでそれで大丈夫かと思います。
      参考リンク)傷病手当金支給申請書記入の手引き(PDF)
      ※1枚目の添付書類の欄を参考にしてください

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