意外と知らない?給与明細書の正しい見方|押さえていきたい3つのポイント

給料

給与の明細

普段何気にもらっている給与明細。あなたはちゃんと確認していますか?

 

といっても、給与明細は何がもらえて何が引かれているのか分かりにくいと思います。実際、「これだけ貰えるんだな」と振込み額だけしか見ない人も多いと思います。

 

頑張って働いた対価にもらえる給与。その大切な情報を知ることができるのが給与明細です。正しい見方を知り、内容をしっかり理解していればな違いに気づくこともあります。

給与明細の内訳

給与明細はどこもだいたいこんな感じだと思います。

給与明細
※これはシンプルな例です。形式、項目等は会社によって異なります。
※金額は見本です。

 

給与明細は大きく分けて「勤怠(きんたい)」「支給(しきゅう)」「控除(こうじょ)」の3つのエリアで構成されています。

この3つのエリアがどういった内訳になっているのか、それを知ることがもっとも重要になります。

point1 勤怠のエリア

まずは、「勤怠」のところです。わかりやすいところですね。

給与明細1

ここは主に、出勤日数や労働時間、残業時間など勤務状況がわかるエリアになります。

意外とここが一番重要なのかも知れません。

注目する点は、ここの残業時間や休日出勤などは残業代の計算の基になっていますので、間違っていないか確認する週間をつけるようにしましょう。

 

だいたいの会社は給与ソフトを使ってますが、入力は手入力のところもあるので間違いは起こるものです。(まぁ、あってはいけませんが…)

もし、間違いに気づいたら一度先輩や上司に聞いてみるといいかも知れません。

point2 支給のエリア

次は、「支給」のエリアです。

給与明細3

ここは、会社からもらうお金の項目が並んでいます。

「基本給」や「残業手当」、「通勤手当」などが記載されているはずです。支給される手当や名称は会社によって様々です。

 

このすべての合計額が「総支給額」で、いわゆる「額面の金額」と言われるものです。

○固定給

(1)基本給
給料のベースとなる金額。年齢や勤続年数、人事考課などで変動していきます。賞与の計算の基になるのもこの部分。時給の人は「時給×労働時間数」となります。

(2)役職手当
係長、課長、部長などで支給される手当。責任が重いほど金額が高くなります。

(3)通勤手当
家から会社までの通勤にかかる費用。実際の経路より、経済的かつ実用的な経路で変更される可能性もあります。
雇用期間等によって様々ですが、定期代(1、3、6か月毎)での支給が一般的。

(4)資格手当、技能手当
会社ごとに決められた対象の資格や技能があれば支給される手当。IT資格や業務資格・免許など様々です。

(5)家族手当(扶養手当)
配偶者やこども、親などを扶養しているともらえる手当。会社によって、対象の家族の年齢や、収入の有無の条件でもらえない場合もあります。

(6)住宅手当
持ち家や賃貸マンションの家賃など住宅に係る費用に応じてもらえる手当。だいたいは上限があります。

これらは基本的に月々に金額が変動しないもので固定給と言います。

○変動給

(7)時間外手当
いわゆる残業代。1日8時間を超えた分の時間や、休日出勤した時間を割増時給でかけたもので計算されています。

(8)深夜勤務手当
深夜に勤務したらもらえる手当。時間帯は「夜10時から朝5時まで」で、法律で決まっています。

これらは、勤務の状況によって月々で変動するので変動給と言います。ここで注目するところはいろいろあるのですが、

基本給…昇給したときや昇格したら上がるので、前のままになっていないかをチェック
残業手当…残業したときはちゃんと支給されているかチェック
通勤手当…支給される月にちゃんと支給されているかチェック。6か月毎だとたまに忘れられることも。
深夜勤務手当…これも残業と同じ。深夜勤務していたらチェック

まぁ、全体的にチェックすればいいですが、メインどころはこの辺りでしょうか。

point3 控除のエリア

最後は、「控除」のエリアです。

給与明細2

控除とは、「差し引く」という意味で、このエリアには支給額から差し引かれる項目が記載されています。

大きく分けて「社会保険料」と「税金」の2種類の控除があります。

○社会保険料

(1)健康保険料
会社が加入している健康保険に対する保険料です。一般的には「協会けんぽ」に加入していることが多く、都道府県によって料率が変わります。

(2)介護保険料
健康保険に付随する保険で、40歳から65歳の人が負担する保険料です。

(3)厚生年金保険料
本人や家族のために年金を受け取るために加入している保険です。
国民年金部分と上乗せ部分を足したものが厚生年金保険で、他の保険料より料率が高いため、金額が高いです。

(4)雇用保険料
失業した時などに給付を受けるために加入する保険です。

 

この4つの保険料が一般的に多いと思います。このほかに、会社によっては「厚生年金基金」や「企業年金」などを採用している場合もあります。

これらを総称して「社会保険料」といい、合計額が「社会保険料計」となります。

 

そして、保険料は本人と会社の両方が負担します。「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」は双方が半分ずつ負担し、金額は基本的に1年間固定で変動しません。

 

また、「雇用保険料」は他の3つの保険料と違い、本人負担額の方が会社負担額よりやや少なく、毎月金額が変動します。

 

○税金について

(5)所得税
月々の給与に対する税金で、引かれる金額は概算です。給与が少ない人や、扶養家族が多い人はほとんど所得税が引かれません。副業での給与は本業より多く引かれます。
(6)住民税
住んでいる都道府県と市区町村に収める税金です。前年の収入によって計算され、決まった額が6月から毎月引かれるようになります。なので、基本的に入社した年は引かれませんが、2年目の6月から引かれるようになります。

 

・所得税の算出方法

所得税は、「支給総額(通勤手当除く)-社会保険料」で算出されます。
この社会保険料には、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が含まれています。

そして、求められた金額と扶養の人数から”国税庁の税額表”に基づいて引かれる所得税が決められます。
この「税額表」は国が「この金額の人は、これだけ所得税を取りなさいよ」と決めた表です。
参考⇒国税庁のH28年分源泉徴収税額票(PDF)

 

また、この税額表には”税額欄”というものがあり、給与明細に記載されている会社もあります。種類としては、

  • 甲欄…その会社がメインの収入になっている。ただし、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出が必要。
  • 乙欄副業先である。または上記の申告書を提出していない。
  • 丙欄…日雇いや短時間のアルバイトなどの人。

基本的には、甲欄より乙欄の方が多く所得税が取られるため、副業でのアルバイトで所得税が高いのはこのためです。

また、毎月引かれる所得税は概算(ざっくりとした金額)であり、年末調整で払いすぎた所得税が還ってきます

 

・住民税の算出方法

年末調整よりかなりややこしい計算で算出されます。
でも実際は、住所地の市区町村(役所)が計算しますので会社は計算しません。
そして、役所が計算したものが住民税の通知書として会社に送られてきます。
その金額に基づいて毎月の給与から控除するというしくみになっています。

 

この控除のエリアの注目するところは・・・特にありません。
基本的に、給与ソフトを使っていれば自動計算なので間違いません。

手計算の会社は注意が必要かも知れませんね。社会保険料や税金の計算は結構やっかいですから間違える可能性もあります。

 

控除合計と差引支給額

このエリアのすべての合計が「控除合計」となります。

 

そして、「支給総額」から「控除合計」を差し引いたものが「差引支給額」で、実際に振り込まれる「手取り額」となります。

「差引支給額(手取り額)=支給総額ー控除合計」

 

控除合計を見るとかなり高いことが分かります。頼んでもないのにこんなに差し引くなんて!って思うかも知れませんが、日本にいる限り仕方ないです。

これは、会社があなたに意地悪して高く引いているのではなく、国にこれだけ引きなさいよ、と言われているのです。

まぁ、それでも社会保険料は会社が半分払ってくれている訳だし、納付や手続きもあなたの変わりにやってくれています。

まとめ

給与明細にはいろんな情報が詰まっています。この記事を参考に、正しい見方ができれば自分のお給料がどんなもので、何がどう引かれているのか分かってくるのではないかと思います。

よく聞かれますが、給与明細はなにかのトラブルのために、取っておいた方がなにかと役に立つかも知れません。

もらったもらってないなどはすべて証拠が必要になりますから今後は大事に取っておくのもいいかなと思います。

コメント

  1. 匿名 より:

    ちょっとお聞きしたいのですが…
    住宅手当、育成手当、家族手当をもらっていて、いつの間にか減らされていたんです
    その事を、上司に話したところ入力ミスだと言って、さかのぼって減らされてい分を手渡しで受け取ったのですが、とりあえずと言って渡された額は全額ではなかったので、自分で計算して出した金額を、再度確認お願いしたのですが、足立区の最低賃金が上がった時に、私の時給も上がったのですが、手当の項目は戻ることがなく、その上がった時給の中に手当を入れているので、とりあえずで受け取ったお金以上は出せないと言われました。
    時給の中に手当が含まれてるなんてことあるでしょうか?

    • じょん より:

      コメント頂きありがとうございます。
      手当についてですが、残業代以外は非常にあいまいなものです…
      残業代以外は手当の支給すら法的に義務ではないので会社の言い分で何とでもなっちゃうのが正直なところです。

      時給の中に『手当』が含むことがあるのか?
      という点に関しては、ぶっちゃけ普通にあり得ます。
      何の手当かは会社によりますが、有名なのが派遣の時給に交通費が含まれていることが多いです。
      普通のアルバイトより派遣の時給が少し高いのはそう言った理由からです。

      ただし、普通は手当の額を除いて最低賃金を超えている必要があるかと思いますので、
      一度労働基準監督署に相談されてはいかがでしょうか。

  2. 匿名 より:

    教えて下さい。
    複数掛け持ちしてます。給料が翌月払いで130万を超えそうなので12月の仕事を休もうとしたら12月休んでも意味がないと言われました。12月の給料は来年の1月になるので休むなら11月だと…
    どう計算すれば良いのか分からくて…

    • じょん より:

      コメントありがとうございます。遅くなってすみません。(もう解決してるかもですが…)
      状況から、社会保険の扶養の加入条件の130万の計算方法が知りたいということですね。

      前提条件としてアルバイトで給料は翌月支給と推測します。
      130万円の条件は支給月がベースになります。

      要は「1月〜12月に支給された給料」ですが、その中身は「12月〜11月に働いたお給料」ということになります。
      なので休むなら11月じゃないと意味がないということですね。

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