年末調整の書類に書いてある「配偶者控除」と「配偶者特別控除」。
どちらも配偶者(妻や夫)がいる人が受けられる「控除」のことを言っているのですが…
この違いって一体なんなの!?
…と思われる人は少なくないと思います。
ということで、この2つの違いをご説明します。
配偶者の取扱い
前提としては、所得者本人と生計を一にする配偶者であることです。(青色事業専従者や白色事業専従者は除く)
そして、婚姻の届出を出していることが必要となります。
つまり、事実婚や内縁関係の人では控除は受けられません。
控除の違いは所得金額の違い
「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いは、簡単に言うと配偶者の所得金額の違いです。
所得の金額によって、どちらか又は控除対象外になります。
わかりやすく図しましたので、下記をご覧ください。
補足説明1:所得と収入の関係
●収入が給与収入のみ
・年収103万円以下で所得38万円以下
・年収141万円以上で所得76万円以上
ざっくり説明すると、月8万円ほどなら「配偶者控除」、月11万円ほどなら「配偶者特別控除」が受けられます。それ以上ならどちらも受けられません。
●収入が公的年金のみ
<所得38万円以下>
65歳未満:108万円以下
65歳以上:158万円以下
<所得76万円以上>
65歳未満:1,513,334円以上
65歳以上:196万円以上
補足説明2:合計所得金額
合計所得金額とは、下記の所得をすべて合算した金額です。
- 給与所得
- 事業所得
- 雑所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 退職所得
- その他の所得
ちなみに、公的年金は雑所得です。家賃収入なども含めます。
また、遺族年金や障害年金は「非課税」なので含めません。
控除額の違い
前述で収入の金額によって受けられる控除に違いがあることが分かりました。
では、2つの控除の控除額にはどのような違いがあるのでしょうか。
●配偶者控除の控除額
配偶者控除を受けられる妻や夫は『控除対象配偶者』となり、38万円の控除が受けられます。
●配偶者特別控除の控除額
こちらの控除額は少し複雑で、金額に応じて調整される仕組みになっています。
申告書にも書かれていますね。
このように、段階的に収入が多いと控除額が少なくなっていき、最終的には3万円の控除額になります。
申告書の書き方
配偶者控除の書き方
給与の年収が103万円以下の人です。
配偶者控除が受けられる場合は、「扶養控除等申告書」に記入します。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
⇒扶養控除等(異動)申告書の書き方
配偶者特別控除の書き方
年収が103万円を超えているけど、141万円以下の人はこちらになります。
配偶者特別控除の場合は、「保険料控除 兼 配偶者特別控除申告書」に記入します。
【配偶者特別控除の記入例】
1.あなたの本年中の合計所得金額の見積額
ここは少しやっかいです。一瞬「年収のことかな?」と思いますが、『所得金額』であることに注意します。
合計所得金額の計算は、次の式によって求めます。
「給与所得控除額」は、下の表により計算します。
※上記表は平成28年分の収入のものです。
【計算例】
例えばあなたの年収が300万円の場合は、『180万円超~360万円以下』の欄を見ます。
そして、右側の計算式より「給与所得控除額」を求めます。
「300万円×30%+18万円=108万円」となります。
したがって、年収300万円の合計所得金額は、「300万円-108万円=192万円」となります。
この金額が1,000万円を超える人は、申告できませんので記載の必要はありません。
2.氏名・生年月日等
配偶者の氏名や生年月日を記入します。同居していれば3,4段目は空白でOKです。
2.合計所得金額の計算(見積額)
ここに配偶者の年収を記載します。大体の人は給与所得のみだと思いますので、ここでは仮に年収が140万円の給与所得のみであった場合とします。
他の所得もある場合は、すべて記入していきます。
最後に、所得合計を「A欄」に記入します。
3.配偶者特別控除額
早見表より、上記の「A欄」の金額にあてはまる箇所の「控除額B」を確認し、金額を記入します。
以上で、配偶者特別控除の申告書は完成です。
まとめ
最後に「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いをまとめておきます。
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