『パートやアルバイトしている人って年末調整は必要なのか?』
そんな質問を頂くことが少なからずあります。
確かに、「年末調整は会社の正社員がするもの」というイメージはありますね。
学生や主婦、会社員の副業など…さまざまな理由でパート・アルバイトしている人も多いはず。
では、いろいろなケース毎に分かりやすく解説していきますのでご参考ください。
パート・アルバイトでも年末調整は必要
年末調整が必要か必要でないかで言うと、パートやアルバイトさんでも年末調整は必要になります。
基本的に年末調整の必要性は、個人本人が決めるのではなく会社での働き方で決まってきます。
つまり、その会社での年末調整の対象者であるかどうかです。
対象外だと、あなた自身で確定申告が必要になります。
ただ、還付金(納め過ぎた所得税の返金)が要らないという人は必要ないです。
そんな人はあまりいないと思いますが…
さて、年末調整の扱いがどのようになるのか、ご紹介していきます。
ケース1:学生や主婦のパート・アルバイトの年末調整
よくあるパターンですね。
1つの会社で学生さんや主婦の人がパートやアルバイトをしているしている場合です。
この場合、その会社での勤務がメインの扱いなのか、サブの扱いなのかで変わってきます。
この見分け方ですが、簡単に分かる方法があります。
給与明細の税額欄(表)を見る
会社によって無い場合もありますが、給与明細には『税額欄(表)』というものがあります。扶養人数などの項目にくっついている場合が多いです。
一般的には、所得税の計算の際に使用します。会社が徴収する所得税の税率の種類です。(国税庁で定められています)
この税額欄には、「甲・乙・丙」の3種類あります。
●甲欄…「扶養控除等申告書」を提出した人
●乙欄…上記の提出がない人
●丙欄…日雇いや短期間のアルバイトなどの人
ざっくり、上のように分類されています。
そして年末調整との関係ですが、
<年末調整の必要性>
●甲欄⇒年末調整が必要
●乙欄⇒年末調整は不要
●丙欄⇒年末調整は不要
このように、甲欄の人だけ年末調整が必要になります。
この甲・乙・丙の扱いは、あなたが会社での働き方や雇用のされ方でおおよそ決まっていますので会社によりけりとなります。
また、「扶養控除等申告書」はメインとなっている甲欄の会社にだけ提出することになっています。
会社で社会保険(健康保険や厚生年金保険など)に加入している人は、必ず甲欄になっています。
税額欄がない人は?
会社でもらえる給与明細に「税額欄(表)」がないという人。
この場合は、引かれている「所得税の額」で判断します。
大体の金額は下の表を参考にしてください。
ただし、税額欄がなくても、社会保険に加入している人は、甲欄です。
※表は社会保険未加入者の場合を想定しています。
給与支給総額(月額) | 所得税額 | |
---|---|---|
甲欄 | 乙欄 | |
50,000円 | 0円 | 1,531円 |
80,000円 | 0円 | 2,450円 |
100,000円 | 720円 | 3,600円 |
120,000円 | 1,750円 | 4,300円 |
150,000円 | 2,980円 | 8,700円 |
200,000円 | 4,770円 | 20,900円 |
※甲欄額は申告している扶養親族0人の場合です。1人以上扶養親族がいる場合はさらに金額が低くなっています。
このように、甲欄と乙欄では全然金額が違うことが分かりますね。
ケース2:掛け持ちバイトの年末調整
続いて、最近ではよく見るパターンですね。
2つ以上同時に掛け持ちでパートやアルバイトをしている人の場合です。
まず、前述の方法「税額欄」でメインの勤務先をしぼりましょう。
2つの会社のパターンをご紹介すると
パターン②【A社】乙欄、【B社】乙欄
パターン③【A社】甲欄、【B社】甲欄
数学的にどれかのパターンに属しますが、③番はあり得ません。
メインの会社を2つにできません。2つの会社で週4~5日働くのは物理的に難しいですよね。
では、①と②の場合において年末調整はどうなるのかご紹介します。
➀A社が甲欄、B社で乙欄の人の場合
1つが本職で、1つがサブの場合です。
この場合は、A社で年末調整することになります。
B社は年末調整は対象外なのでしません。
問題は、B社の収入分はどうなるのか?ですね。
基本的に、A社で含めて年末調整は可能です。ただし、含めるB社の「源泉徴収票」が必要になります。
B社が今現在も勤務しているなら、A社で含めることは不可能です。
理由は簡単。年末調整が終わらないと源泉徴収票は出せないからです。
結果この場合は、下記のようになります。
・B社の収入分は、後日A社分を含めて確定申告する
B社はもうすでに辞めている場合は、源泉徴収票は年末調整時期までにもらえているはずです。この場合は、
ただし、辞める時期などによって年末調整までに間に合わない場合がありますので、年末調整してもらえるA社の担当者に相談してみてください。
②A社もB社も乙欄の人の場合
この場合は、どちらも年末調整は対象外のため必要はありません。
ただし、乙欄の人は前述の「給与額と所得税の表」にあるように、所得税がかなり高額で引かれています。
これはかなり納め過ぎですので、必ず還付してもらいましょう。
結果この場合は、下記のようになります。
ケース3:会社員の年末調整
サラリーマンやOLなど、1つが正社員などで働いていてパートやアルバイトしている場合です。
基本的には前述の「ケース2:掛け持ちバイトの年末調整」のパターン➀と同じです。
ただし、気を付けなければいけないのは、バイト(副業)が秘密かどうかです。
お察しの通り、バイト分を申告すればバレます。
この場合、確実にバレない保証はないですが、後日確定申告する必要があります。
パートやアルバイトの収入金額によっては、還付とならずに徴収になる場合があります。
まとめ
年末調整は会社の義務ですが、人によって必要性はケースバイケースとなります。
あなたの働き方で変わってきますので、よく確認しておくことをオススメします。
パートやアルバイトに年末調整が必要かをざっくりまとめると、
- 必要性は税額欄を確認する
- 「甲欄」は年末調整は必要
- 「乙欄」は確定申告
- 退職分は本職に含めて年末調整できる
- 秘密にしたいなら確定申告
甲欄の人はがっつり週4~5日で働いているはずなので「その会社をメインとして働いている」と扱います。
一方、乙・丙は短期間なので他にも勤務先がある可能性があるため(時間的に可能)「その会社はサブで働いている」と扱われます。
基本的に、年末調整はメインとしている会社で行いますので、乙などの人はどこがメインか分からないため自身で確定申告することになります。
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