困ったことに、世の中には給料や給与、収入に所得といろいろな言い方があります。
普段の会話では、あまり気になるものではありませんが、明確な違いを聞かれるとその違いを知っている人は少ないのではないでしょうか?
実は、それぞれに違った意味を持っています。あなたは分かりますか?
インターネットや辞書で調べると似たような表現がしていて、どれもわかりにくいです。
できるだけ簡単に、わかりやすく説明していきますので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
ただ、個人的な主観も入ってますので、あくまで参考までに。
給料と給与の違い
まず、給料と給与の違いです。
1つ重要な点は、これらは会社と労働者は雇用関係にないと成立しません。
なので、委託契約などは「給与」とは言いませんので注意してくdささい。
給与とは
ざっくりいうと、「会社で働いている人が労働の対価として支払われるすべてのもの」です。
ここには、残業手当やボーナスなども含まれています。
給与は所得税法での言い方をすると、「給与所得」といい、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」と定義されています。
参考⇒所得税法 第28条
給料とは
給料とは「基本給」のことで、ボーナスや退職金などを算出する基準となる金額のことです。一般的には、明確な定義がありませんが、公務員の「給料」は地方公務員法により「給料=基本給」と定められています。
なので、給与は給料よりも広い範囲の意味を持っています。また、「現物支給」も「給与」の一部として含まれる場合があります。
まとめると、給与と給料は
- 雇用契約に基づく労働の対価
- 給与=給料(基本給)+諸手当+賞与
ということになります。
収入と所得の違い
行政などの手続きで「収入○○円未満なら、所得が○○となる」という文言が出てきます。
確定申告とかにもよく見ますね。
ここも似たような表現がされますが、意味合いが変わってきます。
「収入と所得」は先ほどの「給料と給与」の性質と同じようなものですが、範囲がかなり広くなります。
それは、この2つは、会社と労働者の雇用関係は問わないからです。
収入とは
ざっくりいうと、ある期間に得たあらゆるものになります。
一般的なサラリーマンなど会社員でいうと、正確には「給与収入」と言います。
ある期間が「月なら月収」、「年なら年収」となります。
基本的に、新聞やニュースなど世間でよく耳にする年収は”1年間で得たあらゆるもの”を指していると理解してもらえればいいと思います。
ここにはお金だけでなく、車や家などの動産・不動産などもすべて含まれます。
だいたいの会社員であれば、収入は給与だけとなりますので、給与の総額で「源泉徴収票の額」でいいと思います。
これは「手取り額」ではなく「総支給額」になります。(ただし、通勤手当は含めません)
他にも収入となるのは、
- 自営業など:事業収入(売り上げ)
- 雇用契約にない人:報酬など
- 資産、権利をもっている人:利子、配当、賃貸料など
があります。「家賃収入」とかはよく耳にしますよね。
他にもまだありますが、上記のものが一般的でしょうか。
所得とは
これは税法上の言い方ですね。簡単にいうと、
「所得=収入ー経費」
をいいます。基本的に収入が会社からの給与や賞与からしかない人の所得は「給与所得」といいます。簡単ですね、所得の前に”給与”が付いただけです。
ここで経費という言葉が出てきましたね。
これは何かというと、一般的な会社員の場合で考えて見ましょう。
あなたも会社で働くためにスーツを買ったり、くつやカバン、化粧品や本など、様々なものを買ってますよね。
こういった、働くためにかかっている費用を「経費」とすることができます。
ただ、実際にかかった費用を経費とするのではなく、あらかじめ国が収入に応じて決めています。
「これくらいの収入の人は、これくらい経費がかかったことにしましょう」と簡単にしています。
これを、小難しいですが「給与所得控除額」と言います。
参考⇒国税庁 給与所得控除額
つまり、会社員の人は
給与所得=給与収入ー給与所得控除額
となります。
もちろん、所得にも収入と同じように、雇用関係などに関係なくすべてのものを言いますので、他にもあります。
- 利子所得(預貯金の利子)
- 配当所得(株の配当)
- 事業所得(事業の収入)
- 不動産所得(不動産収入)
- 退職所得(退職金)
- 譲渡所得(家庭用の資産を売却)
- 山林所得(山林を伐採して売却)
- 一時所得(クイズの賞金、パチンコ)
- 雑所得(年金など)
とずらずら並べましたが、これに「給与所得」を含めた10種類あります。
ちなみに雑所得とは他の9種類のどの所得にも属さない所得です。
いろいろな所得がありますが、基本的にはすべて
所得=収入ー経費
となっています。
その他の用語
前述したもの以外でも似たようなものがあります。
それは「賃金」や「報酬」といったものです。あなたも見たことや聞いたことがあるかも知れませんね。
実は、これは簡単で、法律や使い方が違うだけです。本質は「給与」と同じです。
○賃金とは
給与が所得税法であるのに対し、労働基準法など労働法で言うと「賃金」と言います。
○報酬とは
雇用関係にあるものは給与と言いましたが、雇用関係にないものは「報酬」といいます。
自分の身体ひとつで労働やサービスをした対価でもらえるもので、スポーツ選手や税理士などの専門家やフリーランスなどはこれにあたりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。同じような性質を持つものでも、法律や使う立場、関係などによりさまざまな言い方があることがわかりましたでしょうか。
こういった名前は細かいことですが、行政も当たり前に使ってくるし、大事なことなのでしっかり理解しておくといいかと思います。
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