履歴書は応募書類の1つでも、重要な位置付けとなります。応募企業の採用担当者がその内容を見て、採用・不採用の判断に用いる「審査書類」だと考える必要があります。
ここでは、基本情報を初めとした書き方や、履歴書を書く上で注意しておきたいポイントも含めてわかりやすく図解でご紹介します。
履歴書の役割
履歴書の役割は、『基本となるあなたの情報』を伝えます。
氏名、住所など基本情報やどのような経歴の持ち主かを見るための書類
加工のない情報を相手にわかりやすく書き、アピールは職務経歴書にまかせる
基本的に履歴書は、基本情報を確認するための書類と考えるといいです。自分の情報がわかりやすく書けていればそれで十分です。
経歴のブランクなど、相手に伝えておきたいことがある場合は、履歴書ではなく職務経歴書に書くようにしたほうがいいです。
また、履歴書はフォーマットがある程度決まっていますので、気負いする必要はなく、後述するいくつかのポイントを押さえておけば大丈夫です。
履歴書の基本条件
履歴書は基本的に淡々と記入していけばいいと考えましょう。必要以上に神経質になることはありません。
なので、一般的なことは次にさくっとご紹介します。
<履歴書の様式>
様式は、JIS規格のものをオススメします。市販でも売っていますし、ハローワークインターネットからダウンロードもできます。
⇒JIS規格履歴書様式|ハローワーク(PDF)
<履歴書のサイズ>
大きさはA4版とA5版がありますが、企業で用いる様式はA4で統一されていることからA4版をオススメします。
<履歴書の内容>
基本的に、5つの構成からなっています。
②学歴・職歴
③資格・免許
④志望動機
⑤通勤時間・扶養家族・配偶者の有無・本人希望欄
これらの項目を、重要なポイントを押さえた上で、わかりやすく簡潔に、いいたいことを伝えられるかが重要になります。
<守っておきたい最低限のマナー>
- 手書きが基本(パソコンでの作成がNGというわけでもありません)
- 黒のペンかボールペンで丁寧に書く
- 誤字、脱字に気をつける(パソコン入力でなら変換ミスに注意)
- 間違えたら修正液(テープ)は使用せず、一から書き直す
- 省略記号「株式会社→(株)など」は使用せず、正式名称で書く
- 和暦・西暦は統一する
- 語尾は「です」「ます」で統一する
- 文字の分量、変化に気をつける(空欄を作らない、ペンを途中で変えない)
- 同じ履歴書を使い回さない※コピー厳禁
基本情報の書き方
基本情報での書き方・マナーをご紹介します。
基本的に日付や生年月日の記載の年号で以後も使用し、和暦・西暦を統一します。
(例えば、生年月日を和暦で書いたら学歴等も和暦に合わします)
1.日付
書類の提出日、郵送なら投函日を記入します。ここから和暦・西暦を統一します。
2.氏名
姓と名の間は、スペースを空けます。ふりがなは様式に合わせます。
ふり仮名欄が「ふりがな→ひらがな」、「フリガナ→カタカナ」で記入します。
3.住所
郵便番号を忘れずに記載し、都道府県から書きます。マンション名も省略せずに記載します。
4.写真
写真は必ず貼ります。3か月以内で、正面、上半身が写っている写真を使用します。
服装(原則はスーツ)は、「清潔感」があって「表情」はやわらかくして撮ります。スピード写真でもいいですが、写真館などでプロに撮影してもらうことをオススメします。
5.電話
固定電話と携帯電話の両方持っている場合は両方とも記載します。
(固定電話がない場合は携帯電話のみでもOK)
学歴・職歴の書き方
学歴・職歴は、年・月のミスに十分注意しましょう。まずは、正確に間違いなく書くことがもっとも重要です。
「書かずにすむ余計なことは書かない」「アピールできるポイントは積極的に」、これが書き方のテクニックです。
6.学歴
・職歴とわけるために、1行目の中央に「学歴」と見出しを入れる
・和暦か西暦かは、日付・生年月日の表記にあわせ、統一させる
・入学、卒業もしっかりかく
・学校名を省略しない
(「高校」→「高等学校」、慶応大学→慶応義塾大学など)
・「同上」「〃」は使わない
・卒業論文や海外留学などでアピールできる点があれば学歴の最後に書く(多少でも仕事に関連する内容など)
入学・卒業年は計算が大変ですが、下記のサイトで簡単に調べることができます。
⇒入学年、卒業年を調べる
7.職歴
・学歴のあとに一行あけて「職歴」と見出しを入れる
・事業内容や規模を入れる
・勤め先は時系列順に書く
・会社名は正確に書く。(株)や(有)などの略字は使用しない
・配属部署や業務内容を簡潔に書く(アピールしすぎない。詳しい内容は職務経歴書に書く)
・職歴の最後は、現在の状況が在職中なら「現在に至る」(又は「○月○日に退職予定」)と書く。
・最後に、右端に「以上」を忘れずに書く
基本的に、履歴書の職歴は、ポイントを押さえて書けば問題ありません。
余計な自己PRをするのではなく、必要最低限の情報を記載すればOKと考えましょう。
また、勤務先の形態によって入・退社の書き方が変わるので注意しましょう。
勤務先形態 | 書き方 |
---|---|
会 社 | 入社・退職 |
官公庁 | 奉職・辞職 |
会社経営 | 設立・解散 |
個人事務所・病院 | 勤務・退職 |
フリーランス・個人事業 | 開業・閉鎖 |
家業の手伝い | 従事・退職 |
こんなときはどうする?
社名変更
基本は入社時の社名を記入しカッコ内に変更後の社名を記入します。
ただし、変更後の社名の方がよく知られている(わかりやすい)場合は、反対にカッコ内に旧社名を書きます。
例:○○株式会社(現○○株式会社)、株式会社××(旧株式会社△△)
短期間しか働いていない仕事があるとき
短期間で退職した場合でも必ず書きます。隠していても、社会保険の手続きをしていればすぐにわかってしまいます。最悪、経歴詐称で採用取り消しにもなりかねませんので、素直に書いておきましょう。
退職理由について
「キャリアアップのため退職」などと理由を詳しく書く必要はありません。自己都合であれば、「一身上の都合により退職」、派遣であれば「期間満了につき退職」と書きます。
解雇や倒産・リストラの場合は、「会社都合により退職」とします。
資格・免許の書き方
免許・資格欄は、あなたの能力の客観的な証明になり自己アピールできるポイントでもあります。効果的な取捨選択を心がけるようにしましょう。
8.資格・免許
・年号は日付・生年月日と統一させる
・取得している資格・免許は正式名称で書く
・複数の資格や免許がある場合は、業務に関連するものを優先する
・普通免許がある場合は、必ず記入する
・外資系企業ならTOEICの点数、事務系業務ならパソコンのスキルや技能やFPなど、業務に関連する資格は必ず書く
・勉強中の資格も記入すれば、意欲や積極性をアピールできる
志望動機・趣味・特技の書き方
志望動機は、履歴書の中でも重要な箇所です。あなたがその会社に入って、どうなりたいのか、何を実現したいのか、未来に向けたポジティブな意志を込めることをオススメします。
趣味・特技は、あなたの人間性や素顔を垣間見る箇所でもあります。面接での話の糸口になることもあるので適当に書くのは避けましょう。空欄にせず、一言加えるだけで印象が変わります。
9.志望動機
”なぜ御社なのか”を考える
採用担当者が知りたいのは「数ある会社の中から、なぜ自社を選んだのか」といったことです。あいまいな記述ではなく、企業・業界研究を徹底し、自分なりに自分の言葉で書けるようにしましょう。
未来を感じさせる
新規採用とは違い、中途採用は即戦力になれるかが重要ですので「経験」が注目されます。
「これまで何をやってきたか」、またそれによって得たスキルで「何を実現したいのか(できるのか)」というビジョンを打ち出しましょう。
ありがちな表現はNG
マニュアル本でよく見かけるありがちな表現は書いても意味がありません。大抵は面接の場でボロが出ます。下記を参考にしながら「なぜこの会社なのか」を突き詰めてみましょう。
3つのポイントを考えてみよう |
---|
①なぜこの会社をえらんだのか (どこにひかれたのか) |
②今までのどんな経験が この会社で活かせそうか |
③この会社で将来、何がしたいのか |
9.趣味・特技
・空欄にしない
・読書、スポーツ観戦、音楽鑑賞は、好きなジャンルや頻度などの一言加えるとアピール度が高まる
・仕事に関連していなくても構わない
・競馬、パチンコなどのギャンブル系や、明らかにネガティブにとられるものは書かない方がよい
「健康状態」は「良好」が基本。ハンデがあれば一言添えましょう。
無欠勤などアピールできるものがあればカッコ内で補足します。
通勤時間・配偶者有無等・本人希望記入欄の書き方
この辺りは、入社手続きにも関係してきますので、正確に書きましょう。
10-1.通勤時間
家から会社までの通勤時間を記入します。
10-2.扶養家族・配偶者欄
該当する人数や義務の有無など、入社手続きに関係するので正確に書きます。
11.本人希望記入欄
・複数の職種を募集している場合は、希望職種を記入します。
・給料などは「貴社規定に準じます」「貴社規定でお願いします」と書くのが原則です。
希望勤務地は条件に則して書く
エリア限定している場合は「転勤不可」ということで不採用になるおそれもあります。誤解を必須条件でなく、あくまで希望の場合は誤解を防ぐため「転勤可」など一言添えましょう。
まとめ
以上で、履歴書の基本的な書き方、マナーなどをご紹介しました。
コツとしては、いきなり清書せずに、まず2通用意して、下書きすることをオススメします。そして、鉛筆やシャーペンで書き、「これで完成」と納得のいくところまで徹底的に添削し、それを清書します。
職務経歴書もとても重要な書類の一つになります。この書類で面接に持っていけるかが掛かっていると言ってもいいです。書き方やマナーをしっかりチェックしておきましょう。
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