自営業やフリーターの人などが加入する健康保険は、国民健康保険になります。また、会社を退職して転職先が見つかっていない人などは国民健康保険の加入を選択することができます。
ここでは、国民健康保険(通称「コクホ」)の加入手続きや保険料、申請方法などをご紹介します。
国民健康保険とは
通称「国保」と呼ばれる国民健康保険は、健康保険の種類のひとつで公的医療保険になります。
- 勤務先の健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)に加入している人とその被扶養者
- 後期高齢者医療制度に加入している人
- 生活保護を受けている人
上記以外の人は、すべて国民健康保険に加入しなければいけないことになっています。
国保には扶養がない?
社会保険の場合、加入者(夫や親など)の家族は条件を満たせば扶養家族として扶養に入れます。しかし、国保には『扶養』という概念そのものがありません。ここが、社会保険との大きな違いでもあります。
また、国民健康保険の加入・納付の単位は「個人」ではなく「世帯」です。保険料の納付も「個々」で支払うものではなく、「世帯」で支払います。
例えば、世帯主の旦那さんが会社の社会保険に加入していても、同一世帯の誰かが国保の加入義務が発生していれば、世帯主が加入手続きをして、その世帯主つまり旦那さんが保険料を支払う制度なのです。
少しややこしいですが、ここ大事です。テストに出ます。
運営主体
国保の管轄は住んでいる市区町村の役場になります。国保は社保と違い、自治体が運営しています。なので、保険料は自治体に納付し、保険給付も自治体から受けることになります。
国民健康保険の手続きは、すべてお住まいの市区町村の窓口になります。
届出が必要な手続き
国民健康保険で届出が必要な場合をご紹介します。手続きは、14日以内に行うことが原則となっています。
加入の手続きが必要なとき
基本的に、国民健康保険は強制的に加入させられています。次のようなときに加入する手続きをします。
- 会社を退職したとき(任意継続以外)
- 国民健康保険組合から脱退したとき
- 上記の人の扶養家族や世帯家族であるとき
- 子どもを出産したとき(子が加入)
- 生活保護を受けなくなったとき
- 他の市区町村から転入したとき
このような場合は、国民健康保険に切り替えまたは加入の手続きが必要です。
その他の手続きが必要なとき
上記の加入以外で手続きが必要となる場合があります。
具体的な脱退が必要なケースは、
- 会社に就職したとき(健康保険に加入)
- 他の市区町村に転出したとき
- 世帯主が変わったとき
- 生活保護を受けるとき
- 死亡したとき
主に、脱退や住所変更などのときに手続きが必要です。
また、平成28年1月より開始したマイナンバー制度により、各種手続きの用紙に「個人番号」の記載があります。
手続きのときは、必ずマイナンバーカード又は通知カードと身分証(運転免許証やパスポート)が必要となりますので持参しましょう。
国民健康保険の保険料
国保の保険料は、社会保険と違う形式で計算されます。さらに、自治体毎で計算されるため住んでいる市区町村で大きく金額が変わってきます。
一般的には、世帯当たりで計算されます。
- 所得割額(前年の所得に応じた額)
- 均等割り額(加入者数の応じた額)
この2つを合算した金額が国民健康保険の保険料の年額になります。
基本的に、「世帯の総所得」「加入する人の数」「40歳~64歳の人の数」で変動します。計算方法は、かなりややこしいので実際に役所で聞くのが確かです。
▼国民健康保険の保険料
⇒国民健康保険計算機
※上記のサイトでお住まいの市区町村や人数、収入を入力すると試算できます。
国民健康保険料は、社会保険と違い世帯人数で加算されたり、会社負担がないため”かなり保険料は高い”です。
ちなみに、日本で保険料が高い自治体TOP3は、
- 広島市
- 神戸市
- 函館市
となっています。(下図参照)
※モデルは年収400万円の単身介護保険未加入の場合
出典:国民健康保険料高い自治体ランキング
TOP1、2は年間保険料は約60万円で月額5万円。た、高すぎる…
一番安い自治体との差はなんと「年間30万円」ほど違いがあります。
ちなみに、社会保険なら年収400万円程度は健康保険料は月額1.5万円程度でしょうか。年額60万円は年間の社会保険料総額に匹敵しますね…
私の見解では、国保は低所得者や超高額所得者にはあまり負担にならず、中所得者がかなりの負担をしている感じです。
住んでいる市によってこんなにも違いが出てきます。この辺りも考えて引っ越しすると節約になりそうです。
保険料が高くで払えない場合
国保には軽減措置や、会社を退職したり収入が減少したときは減免措置を受けられる場合があります。ただし、自治体によって制度の有無があるので、お住まいの市区町村のホームページ等で確認してください。
軽減措置や減免措置の意味は別に覚えなくてもいいので、名称はどうでもいいです。
- 前年より所得が一定額以下に減少した
- 災害により被害を受けた
- 退職や倒産・解雇で失業して所得がなくなった
- 少年院や刑務所に収容された
などの場合は、保険料が2割~7割減額されたり、保険料の一部が免除になったりします。市町村独自の減免制度もあります。
また、軽減・減免を受けるには、ほとんど申請が必要となります。また、減額の割合は市区町村で異なる場合がありますので必ず確認しましょう。
ムリして保険料を払わずに払える分だけ払いましょう。そのためには、市区町村の窓口に現在の状況や環境などをよく相談してみましょう。
会社を退職して何も手続きしなければ・・・
会社を退職した後に、家族の扶養に入る手続きや任意継続の手続きを行わなかったとしても、退職日の翌日から国民健康保険に加入していることになります。
これは、日本の医療保険制度は無保険は認めていないため、国民は必ず何らかの健康保険に加入しなければならない「国民皆保険制度」となっているためです。
なので、なにも手続きしてなくても勝手に国保に加入していることになっています。
しかし、加入は手続きした日付ではなく、『退職日の翌日から』になりますので放っておくと何ヶ月分もの保険料が請求されることになり、長期間だとかなり高額になる可能性があります。
放っておいても何もいいことはないので、ちゃんと手続きしておきましょう。
給付内容
国民健康保険も、社会保険の健康保険と同じように保険給付を受けることができます。主だったものは、協会けんぽ等会社で加入する健康保険とほとんど同じです。
ただし、主要なもので『傷病手当金』と『出産手当金』は国民健康保険にはありません。
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