生活環境の事情や状況により、国民年金の支払いが困難になるときもありますよね。どうにか安くできないかと一度は思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
国民年金では、一定の条件を満たしていれば、保険料の免除、納付期間を猶予(先延ばし)してくれる制度があります。
有名なのが、学生の猶予制度で知っている人も多いと思います。実は、学生じゃなくても免除・猶予は受けられるのです。
ここでは、社会人の人が国民年金の免除・猶予制度を利用するための条件や申請方法、免除した後年金はどうなるのかなどをご紹介していきます。
免除・猶予制度とは
前述したように、国民年金には『保険料の免除』と『納付期間の猶予』の二つの方法があります。
具体的には、
- 全額免除制度
- 一部免除制度
- 納付猶予制度
- 学生納付特例制度
などがあります。
各制度にもよりますが、基本的に、本人・配偶者・世帯主の前年所得が審査の対象となります。申請して審査が通った場合、制度が適用されます。
保険料免除制度
前年所得が一定額以下の人が使える制度です。免除された分は支払わなくていいよというものです。申請することで免除されます。
前年所得は単身者は本人のみでOKですが、結婚されている人や、両親と同居している人などは本人だけでなく、配偶者・世帯主の前年所得も審査の対象となる場合があります。
免除される額は、全額免除と一部免除(4分の3、半額、4分の1)の4種類あります。審査の対象となる所得額によって免除される割合が決まります。
参考:日本年金機構より作成
上の図が免除となる所得の基準です。少し分かりにくいですね。
具体的な目安の金額は、
- 4人世帯(夫婦+子2人)で年収257万円ほど
- 2人世帯(夫婦のみ)で年収157万円ほど
- 単身者で122万円
で全額免除となります。それ以上の収入がある人は割合に応じて一部免除となります。単身者の場合、年収300万円弱でも4分の1免除が受けられる計算になります。
免除後の実際の保険料は?
平成28年度の国民年金の保険料は月額16,260円です。(毎年変動します)
これをもとに計算すると、
上図のようになります。参考までに、これが平成28年度の国民年金の保険料月額になります。
免除しても年金額は2分の1もらえる
免除期間中は、年金の受給資格期間つまり「年金に加入していましたよ」という期間にカウントされます。なので、加入期間が少なくて年金がもらえないということもありません。
しかも、将来受け取れる年金額にも算入してもらえます。
・全額免除(納付なし) ⇒年金額2分の1
・4分の3免除(4分の1納付) ⇒年金額8分の5
・半額免除(半額納付) ⇒年金額4分の3
・4分の1免除(4分の3納付) ⇒年金額8分の7
このように、たとえ全額免除していて納付額が0円でも、全額支払った分の2分の1は支給されます。
当然ですが、免除せず未納のままだと、受給資格期間にもカウントされず、年金額も算入されません。
納付猶予制度
本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に使える制度です。この納付猶予ですが、学生の場合は『学生納付特例』という名前になります。
50歳未満の人が対象で、審査に通ると保険料の納付が1年ごとに先延ばしに出来ます。
(※平成28年6月までは30歳未満)
所得の基準は免除の「全額免除」の場合と同じで、
(扶養親族等+1)+35万円+22万円
となっています。
実際は免除制度とあまり違いはありませんが、年金の受給資格期間にはカウントされますが、年金額には算入されません。
退職や失業しても免除・猶予は受けられる
上記のような免除・猶予制度は前年所得で判断されます。なので、今年になって会社を退職して収入がなくなったけど、去年は収入があったよという人は利用できません。
そのように、失業した人のために『特例免除』というものが使えます。
実は、別に新しい制度ではなく、失業した人は特別に上記の免除制度が使えるというものです。
実は、この特例免除は失業した人以外にも使える制度なので損しないように知っておきましょう。
具体的には、
・災害(震災、風水害、火災など)を受けた人
・生活保護の認定を受けた人
・特別障害給付金を受給している人
・配偶者のDVから避難している人
など、失業以外にもさまざまの理由で特別に免除制度が利用できます。
上記に該当する人は、すぐに申請し保険料を免除してもらいましょう。
追納すれば年金額は増やせる
保険料免除しても何割かの年金額は加算してくれますが、納付猶予は年金額に加算されません。
将来もらえる年金額を少しでも満額に近付けたい人は、「追納制度」で『後払い』が出来ます。
追納するときの注意点は、
- 追納できる期間は10年以内の分まで
- 追納額は、当初額より少し加算される
※3年以内は加算はありません。
となっています。期間が遅くなれば加算されてしまいますので、追納するなら早目がよいということになります。
ただ、年間分を追納していくので結構な高額になります。
義務ではないので、追納するかは個人の自由です。個人年金に資金を回すのか、しっかり考えて検討しましょう。
▼免除・猶予制度の手続きに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
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