給与明細をもらいふと内容を見てみると「ん?これってなんの手当?」って思うものがあったりしませんか?
よく分からない手当や、何に対してもらえている手当か知らない人が結構多いです。
そこでよくある一般的な手当から斬新でユニークなものまで、少し解説をまじえながらご紹介します。
目次
手当についてちゃんと理解しておくメリット
解説の前に、社会人として「手当」についてキチンと知っておくべきポイントがあります。
・何に対しての手当かを理解しておく
やはり、社会人たるもの自分が頑張った見返りの給料について少しは興味を持っておきたいものです。
何のためのお金なのか。何に対してもらえているのか。
この辺りを押さえておくとトラブルの回避にもなります。
・給与の間違いに気付ける
最大のメリットは、「あれ、〇〇の手当ってもらえるハズなのでは?」と給料が少ないと感じた時に自分で気付くことができます。
手当の種類と内容
一般的にほとんどの企業で採用されている手当の種類と内容を簡単に解説していきます。
・「手当の名称」は法的に決まりはないので、会社によってまちまちです。
・支給される手当は、特段の定め(法律的に)がない限り支給してもしなくてもいいとされています。(福利厚生のため)
※平成29年4月現在の基準です。
時間外手当
他)超過勤務手当、残業手当など
いわゆる残業代。決められた時間を超過した時に支給される割増賃金です。
■対象者
法的に割増の割合も決められており、発生すれば必ず支給しなければなりません。
基本的に休日出勤もここに当てはまります。
残業=時給×0.25以上
休日出勤=時給×0.35以上
貰える、貰えないのトラブルが一番発生しやすい手当です。
ブラック企業の多くはこの手当の不支給が原因。
深夜勤務手当
他)夜勤手当
深夜に勤務した場合に支給される手当。
法律で決められている絶対義務の手当です。
労働基準法上の深夜の定義は「夜10時から朝5時まで」の7時間です。
この間に勤務していた場合は、会社は「時給×0.25以上」の割増賃金を支給しなければいけません。
役職手当
他)管理職手当、役付手当
ある一定以上の補職名がある人がもらえる手当。
職責やランクなど、責任が重くなるほど当然金額は高くなります。
■対象者
一般的に主任や係長クラスからもらえることが多いです。
すべては会社の規定によります。
課長以上は、残業代が出ないケースが多いと思います。
(係長は管理職ではない)
「名ばかり管理職」という残業代の有無問題が多いのがこの手当のせい。
役職手当は残業代の手当の代わりにはなりません。
それをしたいなら下記のように事前に就業規則や雇用契約で本人も知っている(理解している)ことが必要です。
・役職手当の一部(〇〇円)は残業代とみなす
・役職手当は時間外労働の割増部分を含む など
扶養手当
他)家族手当
家族(妻・夫、子ども、親)を扶養している場合にもらえる手当。
ただし、扶養手当をもらうためには扶養している証明書(扶養の申告)が必須です。
ちなみに所得税の「扶養控除」とは別のお話。
■対象者
金額や範囲は会社によってまちまちです。
一般的には、社会保険上の扶養(年収130万円)か所得税上の扶養(年収103万円)を基準とするのが多いです。
理由は、分かりやすいし管理が楽だからです。
年齢は18歳~22歳までが対象なのが多いと思います。
■金額の相場
金額の参考としては、下記のとおりです。
配偶者:13,000円
その他の家族:6,500円
【民間企業】
配偶者:10,000円前後
その他の家族:3,000~4,000円
国家公務員の場合は法律で決まっていますので分かりやすいです。地方公務員は、国家公務員に合わせられていることが多いです。
一般的に民間企業より多い感じで羨ましいですね。
一方、民間企業は会社の規模や規則によって大きく変わりますのであくまで参考程度です。
子どもが二人目から減額されたり支給されなかったりまちまちです。
そもそも支給されない会社も多いです。
通勤手当
他)交通費
家から会社までにかかる費用の手当。
「月額5万円まで」など上限を設けている会社がほとんどです。
法改正により、平成28年1月1日以降は通勤手段が公共交通機関の場合は月額15万円までが非課税となります。
■対象者
公共機関(電車やバス)などは、6か月定期代を支給(年2回)することが多いです。
アルバイトなどは月の勤務日数や契約期間によってまちまちです。
月の勤務日数が少ない場合は、1日の往復交通費分。多い場合は定期代にするのが一般的でしょうか。
■金額
定期代は「最も安くなる通勤ルート」で計算されることが多く、実際の通勤ルートの変更を余儀なくされることもあります。
実際にかかった「定期代」と、支給されている「通勤手当」の金額に違いがある場合は、上記例のように、会社は経費の面で最短ルートではなく最安ルートを取られているためです。(あくまで合理的なルートの場合です)
車やバイク・自転車の場合は、自宅から職場までの距離に応じて支給されることがほとんどです。
この場合、定期代がないのでガソリン代などの名目で支給され、毎月支給されます。
例)2km~10km未満の場合、月額4,000円など。
住宅手当
例)住居手当、家賃補助金
家賃など住宅にかかる費用のために支給される手当。
基本的に全額ではなく家賃の補助として支給されます。
■対象者
支給条件は会社の就業規則(給与規定)によります。
賃貸マンション、借家は特に関係ないように思います。
多いものとしては、
・本人名義で契約している借家に住んでいる
・本人が所有する住居に住んでいる
…などなど。
やはり支給されるには、家賃を証明する書類(賃貸借契約)や登記簿謄本などを確認されます。
もし、あなたが実家暮らしという場合は、一概に支給されないとは言い切れないこともあります。(世帯主があなたで生活の中心があなたの場合)
■住宅手当の相場
会社によってもちろんバラツキがあります。
「家賃10万円まで」など上限があったり、そもそも住宅手当の支給がない会社が多いです。
とある統計では、国内の企業で住宅手当を支給しているのは約4割程度。
資格手当
他)技能手当
会社ごとに決められた対象の資格や技能があれば支給される手当。
傾向として、IT・金融・不動産・士業・建設業界などの企業が支給していることが多いようです。
■資格の種類
・持っているだけでもらえる資格
・取得したときに一時金としてもらえる資格
・選任されてつく資格
分かりにくいのが最後の、選任されて初めて資格として認められるもので「衛生管理者」などが考えられます。
■金額の相場
色々な資格がありますが、月額で1,000円~数万円が支給されるか、取得により5,000円~数十万円を報奨金としてもらるケースが多いようです。
基本的に取得難易度が高いものほど金額が高いです。
会社で資格取得奨励制度などがある場合は、資格を取得するための費用(受験料、テキスト代、講習費など)を負担してくれたりします。
もし、あなたの会社で手当が支給されるものがあるなら、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
食事手当
食事代の補助として支払われることが多い手当です。
■対象者
基本的に全職員です。外勤が主な営業さんは外食が多くなるので営業職限定などは認められません。
■金額の相場
ほとんどの場合は、1日300~500円といったところです。
所得税法上の都合もあるので、あまり高額を支給されてもうま味がない手当です。
少し変わった手当の種類
最近では、一般的な上記の手当以外でも、会社独自の一風変わったオリジナルな手当を支給している企業も増えてきています。
猫手当て
■対象者
恵まれない猫を育ててくれる社員
■金額
月5,000円
株式会社ファーレイというインターネット関連事業の会社で導入されている手当で、猫を育てていれば貰えるという実にユニークな手当ですね。
社内では9匹の猫が暴れまくってるそうですが、猫に囲まれて働ける職場って、猫好きにはたまらない環境ですね。
ライター、Webシステム開発者、Webデザイナーで求人が出ていました。
※現在は求人掲載は終了しています。
親孝行手当
■株式会社S.B.S【東京・福岡】
システム開発を手掛ける会社で、社員の声から導入されたようです。
内容は不明ですが、他にも「結婚記念日手当」や「誕生日手当」など、オリジナル手当が盛沢山です。
金額はどれも1万円ですが、”社員を大切に思う会社”というのは伝わってきます。
特にびっくりしたのが、「出産祝い」の項目。
3人目の金額が急に100万円とハンパないです。
少子化対策なのでしょうが、政府側にも是非見習って欲しいものです…
オシャレ手当
■株式会社ジールコミュニケーションズ【東京都渋谷区】
Web事業を手掛ける会社で、月に上限1万円までを支給してもらえる「オシャレ手当」。
真意としては求人広告からは読み取れませんでしたが、オシャレな人にもらえる手当なのでしょうか。
女性ならもちろん、男性でもオシャレに気を配ることで”常にオシャレに敏感”になれるかも!?
上限が1万円までですが、下手に資格を取るよりおいしい手当かも知れませんね。
プレ子保育手当
■株式会社プレコヴィユニット【東京都大田区】
食料品関係の会社で、「家族手当」や「子育て支援手当」を導入していて、家族を大事にする制度が強みの会社の手当です。
新制度として「プレ子保育手当」を導入し、シングルマザー(ファーザー)の方、プレコグループ内で夫婦で勤務している方を対象に、月2万円が支給されます。
他の家族手当等と別途で支給されるため、子育て世代にはとても助かる制度で羨ましい限りですね。
※子育て支援手当(16歳未満の子ども1人に付き月10,000円。※最大3人迄)
ハネムーン手当
■バンク・オブ・イノベーション【東京都新宿区】
スマホ向けゲーム開発などを行っている会社。
対象者は、在籍2年以上の社員で、新婚旅行の際に、本人の往復旅行チケットをプレゼントしてくれる太っ腹な手当です。
旅行代の一部を負担してくれるので、ワンランク上のプランやホテル・食事を楽しめたり、滞在期間を延ばせたりできそうですね。
この会社は他にも「花粉症手当」として、診察代、上質ティッシュ、マスク、目薬などを支給してくれます。通院費用も年に1回まで会社が出してくれます。
サイコロ給
■面白法人カヤック【神奈川県鎌倉市/横浜市】
IT業界では割と有名な会社ですね。
サンリオピューロランドのプロモーションを手掛けている会社で、「ちゃんりおメーカー」を制作した会社です。
サイコロ給は、お給料のプラスアルファで支給されるもので、サイコロの目によって手当額が決まります。
支給額は毎月「基本給×(サイコロの出目)%」で決定されます。
例)月額30万円の人 サイコロで4が出た場合
→30万円×4%=12,000円が支給される
他にもバックトゥザフューチャー採用やエゴサーチ採用、佐藤採用などよくわかりませんが面白い採用制度をとっています。
健康手当
■さまざまな会社
従業員の健康を気遣った太っ腹な制度。
・禁煙:2,000円
・非メタボ:3,000円
禁煙手当は導入されてる会社もわずかながら増えてきていますね。
タバコの値段もぐんぐん上がってきているので、これを機に禁煙する人も増えそうです。
非喫煙者や非メタボなだけで2,000~3,000円がもらえるなんて夢のような手当です。
毎年の健康診断も少し楽しくなりそう。
個人的にこの健康手当は、ぜひ多くの会社に導入して欲しいですね。
あなたの会社ではユニークな手当はありますか?
賞与に手当は含まれないことが多い
「賞与は月給〇〇カ月」
こんな表記をよく見ますよね。
この月給に手当が含まれるのかどうか気になりますよね。
法的には、賞与の計算式や「こうしろ!」といった公のルールはありません。
故に、これまた会社の規定次第になります。
支給されないのも違法でもなく、手当を含むか含まないかも会社の独自ルールです。
一番シンプルなのが「基本給の〇〇カ月」といったもので、手当は含まないことが多いです。
ただし、多くの場合はそれだけでなく年齢や肩書き、勤怠状況や評価など色々な要素を含めて加減して決定されます。
手当は突然発生したりなくなったりする
前述で紹介したユニークなもののほとんどは、実は従業員の声から発生したものです。
このように、希望すれば突然支給されるものもあれば会社の業績や実態から突然無くなったりもします。
例えば、よくある「みなし残業」の手当ですがこれは月〇〇時間までの残業代を固定で支給していることが多いです。
しかし実態を見て、固定で支給するより実際の残業時間から計算し支給する方が安くなればどうでしょうか?
ただ、「法的に守られた手当」は必ず発生し、無くなることはありません。(通常は…)
・深夜勤務手当(夜間の勤務割増)
この2つだけは最低限覚えておきましょう。
また、最近の傾向としては「住宅手当」や「扶養手当」は支給される会社は少なくなってきているかも知れません。
ただ、長期的に考えると手当が出る方がお得なことは言うまでもないですね。
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