さて、今回は育児休業給付金についてまとめていきます。
産休には、出産手当金や出産一時金などがありましたね。そして、育児休業にも公的な保障制度があり、「育児休業給付金」と呼ばれるものが存在します。
この制度は、産休の制度と合わせてぜひ活用したい制度なので、しっかり理解して覚えておきたいところです。
育児休業給付金って?
まずは、概要になります。一体、育児休業給付金ってなんなの?ってことですね。
働くママやパパは、子どもが1歳になるまで育児休業を取得することができます。その間は、無収入になるため、雇用保険から生活をサポートし、経済的に援助する目的で「育児休業給付金」が支給されます。
これは、取得している育児休業と同じで、その子どもが1歳になるまで(保育所に入所できない場合は、最長1年6か月)支給されます。
さらに、ママとパパの2人共が育児休業を取得する”パパママ育休プラス”で育児休業が1歳2か月まで延長したときも、同じ期間分支給されます。
ただし、もらえるにはやはり条件があります。
支給される条件とは?
これも、もちろんのこと誰しもが貰えるわけではく、条件があります。
その条件とは下記のとおりです。
- 雇用保険に加入している
- 育児休業開始前の2年間で、1か月に11日以上勤務した月が12か月以上ある
- 育児休業中に、1か月ごとに休業前の月給の8割以上のお金をもらっていないこと
- 勤務している日数が1か月の期間ごとに10日以下であること
これらの要件を満たせば、例え育児休業期間が1日でも支給されます。
ここでポイントですが、この育児休業給付金は産休の社会保険と違い雇用保険の保障内容となります。なので、かなり条件が緩和されています。
社会保険に加入していなくて出産手当金などの対象とならなくても、育児休業給付金は雇用保険に入っていれば対象となり得るということです。
支給される金額は?
気になる支給額ですが、2つのパターンがあります。
●休業前の賃金×67%
●休業前の賃金×50%
となっています。賃金となっているのは、残業代なども含む金額です。
以前までは、『全期間とも50%』でしたが、平成26年4月1日から前半6か月は少し増えて67%となりました。
「な~んだ、たった5~6割程度か・・・」
と思われた人もいるかも知れませんが、実際は8割ほどもらえる計算になります。
そのカラクリはというと、育児休業給付金の特性にあります。
実は育児休業給付金は、
- 非課税のため所得税がかかりません
※翌年度の住民税の算定額にも含まれません。 - 育児休業中は社会保険料は免除されています。
※給料がなければ雇用保険料もありません。
といった特性があります。
具体的に例を出すと、
出典:厚生労働省資料
となり、手取り額で言うと、育児休業前の77%ほどの収入になります。
これは1か月間の収入なので、育児休業期間の全期間で計算すると、
前半6か月間:23万円×67%=154,100円
後半4か月間:23万円×50%=115,000円
(154,100円×6か月)+(115,000円×4か月)=1,384,600円
となり、なんと休業中でも、総額130万円以上のお金が支給されます。
これは、かなり家計の助けになるのではないでしょうか。
では、月給100万ある人は、1か月67万円・・・
って、そんなうまい話はありません。
育児休業給付金には、1か月分で上限があり、給付率が67%(50%)の時は、上限額は285,621円(213,150円)となります。
(この上限金額は平成28年7月31日までの額で、毎年変動するので最新を確認してください。)
パパ・ママ育休プラスでさらにお得に!
さらにさらに、もっとお得な情報をご紹介します。なんと、パパとママで半年ずつ育児休業を取得すれば1年間ず~っと67%の割増で給付されます。
このように、半年ごとにパパとママが交代して育児休業を取得すれば、期間は1年間に延長され、さらに給付率もずっと67%を保ったままで給付されます。
これは、計算するまでもなく、お得ですよね。
実態は、なかなかパパが育児休業を取得するのは厳しいかも知れないですが、検討する価値はあると思います。
申請する方法
育児休業給付金の手続きは、おそらくほとんどが会社でやってくれると思います。・・・が本人がすることもあり得るようなのでご紹介しておきます。
ざっくりとした、申請~受給までの流れです。
- 育児休業の申請をする
- 育児休業給付金の受給資格の確認
- 支給申請書の記載
- 添付書類の確認
- 申請書の提出
- 育児休業給付金の受給資格の確認書が届く
- 受給資格があれば振り込まれる
▶1.育児休業の申請をする
なにはなくとも、まずは育児休業を取得していることが大前提になります。なので、会社に育児休業を取得すること、合わせて給付金についても申請する旨を伝えましょう。
育児休業の申し出には期限があり、「休業開始予定日の1か月前まで」と決められています。出産したら出来るだけ早期に、会社の担当者へ出産日を伝え、育児休業の期間を明らかにしましょう。
期間が分からないと申請のしようがありません。
▶2.育児休業給付金の受給資格の確認
雇用保険に加入していても、育児休業給付金が受給できるとは限りません。他の条件がクリアできていなければいけませんので、会社の担当者に相談してみましょう。
▶3.支給申請書の記載
「育児休業給付金支給申請書」に必要事項を記載します。また、受給資格と同時に申請する場合は「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を使用します。
私の場合、あきらかに受給資格がないと分かっている場合以外は、受給資格もついでに申請しています。支給元に判断をゆだねるのが確実ですから。これは初回に使います。
会社の証明も必要となりますので、会社の担当者にお願いしましょう。
記載内容には、休業期間、銀行口座や、平成28年1月提出分からマイナンバーも必要となります。
▶4.添付書類の確認
申請書の記載内容が確認できるものが必要になります。
具体的には、賃金台帳や出勤簿などが必要ですので会社の担当者の人にお願いしましょう。まだ、マイナンバーを提出していない人は、会社の指示に従い提出してください。
※パパママ育休プラス制度を利用する場合は、他に世帯全員の住民票や母子手帳などが必要な場合があります。
▶5.申請書の提出
すべての書類がそろい、必要事項も記載できた時点で、勤務先から管轄のハローワークへ提出してくれます。
育児休業給付金の支給を受けるには、原則として2か月ごとに申請が必要になります。
▶6.育児休業給付金の受給資格の通知書が届く
受給資格の確認と初回申請を同時に行った場合は、まず会社に通知書が届き、本人に送付されます。
受給資格がある場合は、「育児休業支給決定通知書」が届きます。これは、キチンと書類受理され給付金が支給されますよという通知です。支給される期間や金額、振り込まれる銀行口座などが記載されていますので確認しましょう。
受給資格がない場合は、「育児休業給付受給否認通知書」が届きます。残念ながら受給できません。
今のところ、私は否認通知書は見たことがありませんが、否決されることもある・・・のでしょうか。
▶7.受給資格があれば振り込まれる
無事、「育児休業支給決定通知書」が届いたら、あとは振り込まれるのを待ちましょう。
一概には言えませんが、だいたい支給までは申請から2か月ぐらいかかるようです。
給付金はバイトしてももらえなくなる?
これ、意外とよく聞かれるのでご紹介しておきます。まず、副業禁止ではないなど、会社の就業規則はクリアしているものとします。
簡単に言えば、バイトや本業などに限らず、ひと月に10日以下なら給付金は支給されます。ただ、月給の8割を超えれば支給されず、それ以下の収入であれば給付金の金額が調整されます。
出典:育児休業給付|厚生労働省
図の表記の13%(30%)は支給率が67%(50%)の時です。
具体的な例で見ていきましょう。
【条件】賃金月額30万、支給率67%の期間の場合
・30万円×13%=3.9万円
つまり、3.9万円以下の収入なら、給付金は調整されず全額支給されます。
・30万×80%=24万円
つまり、24万以上の収入なら、給付金は支給されません。
ややこしいのは真ん中ですね。
13%<収入<80%の場合=3.9万円<収入<24万円
つまり、3.9万円から1円増えるごとに、給付金は1円ずつ減額されていきます。極端に言えば、収入が23万9999円なら、給付金は1円になります。
ついでに、同じ条件で『働いて得た収入+給付金』を考えると、
・13%(3.9万円)以下のとき
30万円×67%=20,1000円
3.9万円(収入)+20,100円(給付金)=24万円
・13%<収入<80%の場合
23万9999円(収入)+1円(給付金)=24万円
・80%(24万円)以上の場合
24万円(収入)+0円(給付金)=24万円
そうです、どれも同じになるのです。なので、働く場合は、賃金月額の8割以下(30万円×8割=24万円)であれば何も変わらないのです。※これは、支給率が50%のときも同じです。
強いていえば、24万円以上の収入だと一番多い金額になりますが、そもそも8割以上で10日未満の勤務は現実的ではないですね。
ヘタすれば、復帰しているとみなされ、給付金が今後なくなる可能性が高いですね。
まとめ
いかがでしたか?以上が育休の給付金の金額や条件、申請方法やパパママ育休プラス制度でさらにお得になることも分かりました。
目先の数字にとらわれず、本質を知れば実は8割もの給付金であることも分かりましたでしょうか。これは、貰えるのと貰えないではかなり家計にも響いてくるのではないでしょうか。
もし、該当するのであれば、しっかり忘れず申請しておきたいところです。基本的に、あらゆる申請は、自分で申し出ない限りは自動的には申請されません。
日本の保障制度は手厚いですが、申請主義ということをお忘れなく。
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